警察と盗賊パラレル

*上級生が警察と賊と町民(忍者ではない)
*何時代かどこの国かどこの世界かも定かではない(室町ではない)
*イメージ的にはあーるぴーじー世界観風
*謎のまま始まり謎のまま終わる散文












一か月前に町で暴れた盗賊の住処がようやく特定できたらしい。
幾らなんでも時間がかかりすぎだろう、という言葉は、思うだけで口には出さない。
数年前に代替わりした七光りの馬鹿息子は自分に媚びを売る者にしか興味がないようだが、媚びを売る者に聞かれると面倒だ。
なんせあの馬鹿息子、馬鹿のくせに権力だけはあるからいくらでも人の首をいいようにできる。竹谷達の同期も、先輩も、後輩も、真面目で正義感の強い者はほとんどいなくなった。
腐った組織だ、と立花が以前ぼやいていた。


「で、乗り込むのはいつなんだ? どうせ俺らだろ?」
「そりゃま、そうだろうな。私らはあまりあの人に好かれていないようだし」
「来週中には行くと思うんだけどね。あの人のことだから、明日いきなり思い立つかもしれないけど」
「うわ、明日は困る、うちの馬善法寺先生のとこ連れて行く予定がある」
「ああ、怪我したんだっけ? 大丈夫なのか」
「俺も診たんだけど、一応な。足は折れてないから大丈夫だとは思う」
「そりゃ良かった」


だらだらと会話をしながら書類や報告書をまとめていると、尾浜がぼそりと囁いた。


「それにしてもアホだよね、賊の情報は賊に訊くのが一番手っ取り早いに決まってんのにさ」


竹谷と鉢屋は思わず顔を見合わせる。


「……相変わらず突拍子もないことを言うな、お前は」
「だっ! なにも殴ることないじゃん!」
「相変わらずおっそろしいこと言うなあ、勘右衛門」
「えー、そう? 手っ取り早いと思うんだけどなー」


苦笑を零す竹谷と鉢屋に対し、尾浜は相変わらず何を考えているのか分からない笑みを張り付けている。
そもそも、町の不法者を取り締まるのが自分達の役目なのに、賊と手を取り合ってはダメだろう。というか確実に首が飛ぶ。


「情報屋ならまだしも……」
「あ、大丈夫大丈夫、ほとんど情報屋みたいなもんだし」
「ってさらっと言ったけどお前、賊と会ったのかよ!」
「時々本気でお前が分からん……」


思わず語気が強くなる竹谷と頭に手を当てる鉢屋に、尾浜はニコニコと笑った。
まあだからと言って、尾浜のことを上司に報告するつもりはさらさらないのだけど。





***





中在家の的確な指示で、久々知と不破はあっさり目的を達成することに成功した。


「警備が全然なってなかったねえ」
「コレが盗まれるとは一切考えつかなかったんだろうな」
「確かに、コレの価値も分かってなかったみたいだしねー」


ケラケラ笑う不破の手には、一見するとただのビー玉。
しかし珍しい石で作られており、その価値は持ち主が聞いたら目を回すような額にまでなる。
だがそれも、価値を知らない者が持っていても宝の持ち腐れ。
いらないなら貰っても構わないだろう、というのが久々知達の共通認識だ。
どうせ盗まれたことにも気づくまい。


「そういえば、『あっち』の情報は入ってこないの?」
「んー? 最近は一か月前の強盗事件に忙しいらしいよ。やっと住処を見つけたんだってさ」
「あはは、相変わらず無能な集団ばっかりだねえ」


さらりと毒を吐くも、事実なので久々知はつっこむことなく淡々と話を続ける。


「まあ、あっちもあっちで大変みたいだけどな。なんせトップがあのクソオヤジだから」
「ああ……前は張合いもあったのにねえ、今はダイヤモンドすら簡単に盗めるからつまんないや」
「同感。でも、そろそろ大きい仕事するんじゃないか?」
「兵助もそう思う?」


久々知と不破は顔を見合わせて笑った。






――
作法、会計、生物、学級が警察側
図書、火薬、体育が賊側
用具、保健は町民
みたいなネタを思いついたはいいものの特に話がふくらまなかった。
一応メモには「八左ヱ門達と兵助達の関係はコナンと怪盗キッドのような、ルパンととっつぁんのようなもの」「兵助と勘右衛門が実は利害の一致による協力関係」と書いていた。が、話がふくらまなかった。




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