久々知の山賊退治と立花





回し蹴りで二人の男を薙ぎ払う。
その勢いのままかがみ、背後の男に足払い。
ついでに刀を振りかぶった男には、肘鉄をお見舞いさせた。
とん、と地を蹴って、今度はこちらからの攻撃。
正面にいた男の顔面に掌底を打ち込み、そのまま腹に膝を入れる。
倒れ掛かる懐を掴んで背後の男に投げつけた。
勢いは殺さず、体勢を低くして拳を打ち込む。
自由自在に体を動かす様は猫のようだ。
手刀を入れて足払い、肘鉄を入れて、踵落とし。
背後の男に裏拳を見舞うと、ようやくその場が静寂に包まれた。


「……終わりましたよ」
「早かったな。さすが久々知」


音もなく木から降りてきた立花に、久々知はあからさまな溜息を吐く。


「一応、私達二人に充てられた忍務ですよね、この山賊退治は」
「まあそう怒るな。始末はやってやるから」
「と、う、ぜ、ん、です」
「はは、六年相手に本気でそんなことを言うのはお前くらいだぞ」
「それはどうも」


本気で手伝う気は無いらしく、久々知は大きな根の上にどかりと腰かける。
そんな後輩の様子を面白そうに苦笑しつつ、立花は着々と山賊を縛り上げていった。




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