こんな過去も面白いんじゃない

*いつにもまして捏造がひどい
*モブがひたすらでばる






客人が来ていると担任から連絡があり、不思議に思いつつも学園長の庵に向かう。
兵助に客なんて珍しい、と五年生と六年生もこっそり庵に忍び込んだ。
もちろん兵助に断りなどない。


「あれがお客さん?」
「男の人だね」
「兵助に家族はいないはずだし……」


学園長の前に座っている男は、精悍な顔立ちに洗練された佇まい。
忍びであることは一目瞭然だった。
どこの誰かも分からない忍びが何の用だろう、と話していると、兵助の気配。


「学園長先生、久々知兵助です」
「うむ、入りなさい」


音もなく障子が開く。
兵助と男の目が合った。
――と。


「兵助さま!」


兵助の大きな目が見開かれた。


「ずっと探しておりました! やはり私は久々知家以外の方には仕えられません!」
「……」


驚きで口をはくはくさせている兵助に、男は嬉しそうに兵助に跪く。
予想もしていなかった光景に、天井裏にいる五年と六年も唖然とするばかりだ。


「兵助って、武家かなにかだったの?」
「聞いたことないですけど……」
「久々知城が落城して早数百年……それでも私の家は変わらず代々久々知家にお仕えする身でした……しかし山守として生活して数年……私は先代も奥方も守ることができず……!」
「「…………」」


疑問に全部答えてくれた。
あの人以外と面白いぞ。


「まだ幼かったあなたを分家の者に託した時はこの身が引きちぎれるかと……! あれから私達は敵に捕まり、死を覚悟しました……しかし彼の武将に情けをかけられ、こうして生きる道を与えられたのです……!」
「……ああ、それで生きているのか」


ぼそりと呟いた兵助の言葉は誰にも聞かれていなかったようだ。
自分のことを滔々と語った男は、ぎゅっと兵助の手を握りしめた。


「ですが! 今あなたを見つけ出して、ここまで本当に生きていて良かったと思うことはありません! 兵助さま、本当にご無事でなによりです……!」


泣きそうになった男に、兵助も柔らかい笑みを見せた。


「……私も、お前とまた再会できるなんて夢にも思わなかった。――生きる選択をしてくれて、ありがとう」
「……兵助さま……!」


主従を越えた、どこか親子のような二人に五年と六年も思わず口を噤む。
まさか兵助がそんな波乱万丈な半生を過ごしていたとは。






――
メモんとこに書いた久々知城なんやかんや。
まあこれがうちの兵助の過去です!って固定することはないのであんまり深く考えないでください。
深く考えずに書いているので。


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