食満くく殺伐愛

*微裏?
*冷たい食満先輩を目指した




面倒見が良いとか、優しくて頼りになるだとかは散々言われてきた。
優しいことは心の弱さと同義だと同輩にすら心配されるその性格は、
何故だかこの後輩に対してだけ、発揮されない。

「っ……先輩って、めんどくさい、性格、してますよねっ」
「、鬱陶しいな。余計なこと言わず喘いでろ」
「っ! っは、あ、」

強く腰を打ち付けて、顔を歪ませるこいつに優越感。
何の因果か六年生になるまでちっとも関わらなかった後輩で、このまま何も関わりなく卒業すんだろうなあと思っていた。
けれど。

「食満先輩は冷たい人ですよね」

ある時、何の感情も篭らない声で淡々とそう言われた。全てを見透かしているような大きな目と、どうでも良さげな無表情で。
それに何故だかとてつもなく腹が立って、感情のままに掻き抱いた。

「さっさと処理して出て行け。伊作が帰ってくる」
「……はあ、相変わらず情緒が無い人ですね」
「ただの性欲処理に情緒がいるのか」
「自分でもよくあんたみたいなのに付き合ってるなあと思いますよ」

溜息をつく久々知を容赦なく殴る。
眉間に皺を寄せて此方を見て来たので睨み返した。

身体を重ねることに、久々知は何も言わない。恋だとか愛だとかそういう感情はきっと互いに無くて、でも何故か俺は久々知を抱くようになって、そんな俺を久々知は拒まない。
まあ、拒んだところで意味はないのでそれを分かっているからなのかもしれないが。

「やっぱり、あんたは冷たい人ですよ」

あの時と同じ、見透かしたような目とどうでも良さげな無表情でそう言うと、久々知はあっさり部屋を出て行った。

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