節分五年
全力で豆を投げてくる一年生に痛い痛いと騒いで、照れからなかなか豆を投げない二年生を促して、遠慮から力を込めずに豆を投げてくる三年生には遠慮するな! と笑って、逆に本気で豆を投げてくる四年生には怒る振りをして。
ああ、そこまでは楽しかったなあ……と思い返す。
「鬼は外ォ!」
四年生の教室を出てすぐに、その声と共にパァン! と本当に豆を投げたのかと訊きたくなるような音が背後で聞こえた。
恐る恐る振り返る間もなく。
「福はァ……」
「ダメだこれ強制だ!」
「逃げるぞ!」
「豆に当たったら死ぬと思え!」
てなわけで強制豆まきはいつの間にかリアル鬼ごっこに姿を変えて、今おれ達は全力で逃げ回っている。被ってた鬼の面は既に、みんな暑くて脱いでしまった。
全く、どっちが鬼だ。っていうかあの人達いたら絶対鬼なんか入って来ないし入って来ようとも思わないよ!
――
というわけで節分ネタ。
短編で上げたかったんですが、ちょっと時間の都合で。短くてすみません。