阿甲老子の宝物の段妄想裏話

*出てこなかった五年と六年の話






学園長の指令により、深夜から学園を出た各委員会。
残った会計、体育、用具、火薬委員会の委員長達も当然のように目を覚ましていた。
なにも命令を受けたのは彼らだけではない。



すとん、と天井裏から降りてきた久々知に、車座になっていた潮江、食満、七松は視線だけを向ける。
久々知は物怖じすることなくその輪に入って座った。

「学園長先生はなんと?」
「夜明けまでに片を付けろと」
「……ってそう時間無いじゃねえか」
「まあいいじゃないか、久々に大暴れできるし」
「お前は普段から大暴れしてるだろ」

学園を調べようと動いている組織がある、という情報はつい最近入った。
善用する気であれ悪用する気であれ、学園に手を出そうとするとは言語道断。
今夜多くの生徒が学園を出たのは罠。
これにかかって学園を潰す気なら始末、偵察を続行するなら牽制をするのが残った者達に課せられた指令だった。

「しかし四人って、また学園長先生も無茶を仰る」
「あの人が無茶なのはいつものことだろ」
「先生方も手出ししないんだよな?」
「そうみたいですね」
「うわあ……大暴れできるなあ……」
「仕方ない、学園長先生の指示だ」

周辺に蠢く気配と殺気。生徒の大半が学園を出てから数刻のうちに、殺気はどんどん増していった。後輩達も四年生や勘の良い者は目を覚ましているだろう。
それでも、彼らにも、今出ている後輩達にも気付かれることなく、日が昇るまでに敵を始末しなければいけない。
盛大に溜息を吐く食満に、情報収集をしてきた久々知がけらけらと笑う。

「あの程度、私達だけで充分ですよ」

七松が愉快げに声を上げ、潮江は呆れたように「学園長先生に入れ知恵したのはお前か」と呟いた。





学園長先生が、干し柿を食べたいがためにわざわざ囮を作ってまで各委員会に指令を出した。
あの夜の結末はそういうことで収拾がついたらしい。

「まああの人のことだし半分は本気だろうな」
「だろうな。美味しいからいいけど」
「私達もお裾分け貰ったしなあ」
「ですね。後で後輩と食べます」
「いいな、俺もそうしよ」

学園長の庵から聞こえてくる楽しそうな声に笑って、四人はそっとその場を離れた。

本当の目的は、影に潜めたままで。






――
書きたかっただけ。
だって学園長が夜中に指令出すとか意味深なことするから……!(言い訳)
原作は夜中とか描写なかったはずなんで、ね。ついね。

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