雰囲気がなんか微裏くらいの鉢くく




せっかく久々に二人で過ごせるというのに、急に課題が入ったとかで全く相手をしてくれない。
ぴんと伸びた背中と、背中にかかる黒い髪。癖はあれどその手触りがとても滑らかなことは私だけが知っている。
……あ、いや、タカ丸さんあたりも知ってそうか。いやむしろ勘右衛門と八左ヱ門……雷蔵ももしかして知っているかもしれない。
まあ雷蔵達はいいか。タカ丸さんは複雑だけど仕方ない。勉強を教えたお礼に髪を結ってもらうらしいので、“ぎぶあんどていく”というやつだ。
ああ見えてタカ丸さんは意外と真面目だからお礼をしないと気が済まないのだろう、とは、以前目の前の恋人が言っていたこと。

「さぶろう……そんなに見られてるとやりづらいんだが」
此方を見ないまま、苦笑したのか微かに肩が揺れる。
「プレッシャーをかけているんだ。まだ終わらんのか」
「もう少しで終わる」

そう言ってぺらりと紙をめくった音のあとに、兵助が息を詰めた。
思わず身を起こす。

「どうした」
「、いや、指を切っただけだ。大丈夫」
ひらりと見せられた長い指。
その人差し指の腹に、かすかに赤い血が滲んでいる。
自分の怪我は大丈夫だが、人の傷は自分よりも痛く感じるのは何故だろう。

「大丈夫なのかよ」
「これくらい、よくあることだろう。舐めてれば治るって」

そう言ってぱくりと指をくわえた。
伏せられて長い睫毛が頬に影を落とし、薄い桃色の唇からちろちろと見える赤い舌。
艶めいた色気の漂うその仕草に、思わず息を呑んだ。

「……なんだよ」
「いや、なんか……」

見蕩れていたとは言えず、言葉を濁して、指を絡め取る。
まだかすかに血が滲む指は、唾液のせいでぬらぬらと光っていた。
きょとんとしている兵助に笑って、同じように指を口に含む。

「っ!? な、ちょ、え、さ、」

ぼっと火が付いたように紅潮した兵助が可愛らしく、わざと音を立てて指を舐める。
羞恥と困惑で赤くなっていた頬が、ぴちゃぴちゃという音を聞いているうちに別の色で赤くなっていく。

だんだん潤み始めた兵助の瞳の情欲に気が良くなった私は、最後にちゅっと軽い音を立てて口から指を離した。

「あ、」
名残惜し気な声に、わざとらしく顔を覗き込む。
「ん? どうした?」
自分でも意地の悪い声だと思う。

兵助もそう思ったのか、じろりと大きな目で私を睨む。
潤んだ瞳と赤い眦は全く恐ろしいわけではなく、けれど恐ろしいまでに色っぽく見えてぞっとする。

私の表情に気付いたのか、兵助は劣情を煽るような表情をして、私の首を引き寄せた。

「ソノ気にさせたのはオマエだろ。
最後まで責任取れよ、ばかさぶろう」

低く囁く声は、どこまでも密やかに、甘やかに、耳に、届いた。




――
息抜き。
よくあるネタだけど、書きたくなったので。
指舐める仕草ってエロいよね。でも他人が舐めるのはもっとエロいよね。てな感じで。(意味が分からない)
五年の中では鉢くくが一番エロいと思うんですよねー。夫婦的な安定感は竹くくが一番あるんだけど。
雷くくは穏やかだけどお互いに嫉妬深くて、勘くくは久々知からの気持ちが強いように見えて実は勘右衛門の方が強い。というイメージ。
まあけど五人でわちゃわちゃしてるのが一番好きなんだけどね結局。
どのカプ書いてもなんかしれっと名前だけ登場とかするしね。なんだこいつら。




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