いちゃいちゃタカくく






帳面を覗き込んだ久々知くんがえらく美人に見えて、思わず長い指がさす文字ではなく久々知くんを凝視してしまった。
丁寧に問題を砕いてくれていた久々知くんがそれに気づいて、じろりとおれを睨む。目力が強い。


「よそ見すんな」
「ごめん。だって久々知くんがキレイだからさぁ」


正直に思ったことを言うと久々知くんは一瞬きょとんとして、はあぁと大きなため息を吐いた。
怒ったかなと思ったけれど、どうやら呆れただけのようだ。
呆れられるようなことは今までもあったのでえへへ、と笑うだけにとどめておく。
えへへじゃないよ、と至極もっともなツッコミをしてから、久々知くんは正座していた足を崩した。


「気が抜けた。ちょっと休憩するか」


そうくると思った、とは怒られそうなので言わずに、おれは久々知くんを覗き込む。
ん? と小首を傾げる仕草はどこか幼く見えて、いつもはかっこいいこの人がどうも可愛く思える。


「ねえ、久々知くんはおれのどこが好き?」
「……なんだよ、藪から棒に」
「休憩中だからいいでしょ? なんか気になって」


そういうと久々知くんはおれを見透かすように視線を流して、んー、と唇に指を当てる。
その様は非常に色っぽい。……あれ、もしかして誘われてる? 違うよね?
ころころと雰囲気が変わって、なんだかハニートラップにかけられている気分だ。


「むぇ」


唇に当てていた無骨な、形の良い指がおれのほっぺたをつねる。
思わず出た変な声に久々知くんは悪戯っ子みたいに笑った。


「そうだな、このアホ面とか?」
「あ、あふぉって!」
「ふふふ」


自慢じゃないがおれのほっぺはよく伸びる。
久々知くんはそれが楽しいのか、両手で子供みたいに両方のほっぺたを摘まんで笑う。
その顔も可愛いのだけど、なんだかはぐらかされたような気がした。

そう思ったのが表情に出ていたのか、久々知くんはほっぺたから両手を離しておれの頭を撫でた。


「そんな顔するなよ。おれは、お前の全てが好きだよ」


ああ、どうしてそう可愛らしいことをさらっと言ってしまうのか。
顔を赤くしながらもそんなことを言ってのける恋人を、痛いと言われるくらい全力で抱きしめた。





――
なんかさっきの書いたあとでタカ丸さんの頬をみょーんと伸ばしてる兵助を受信しちゃったので。
タカ丸さんって頬のことほっぺたって言いそうじゃないですか。
そしてタカくくはなんというか、明るい恋愛をしそうだなあと思って。前回のはなんかベクトルがずれちゃったので。




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