久々知と立花






うっすらと明るくなってきた早朝。
しんと静まり返った道場の中で、久々知は目を閉じて呼吸を整える。
腰には練習用の真剣。練習用と言えど斬れるものだ。そして周りには数本の巻き藁。
ゆっくりと息を吐きだすと、久々知はカッと目を開いて腰の刀を抜いた。

一陣の風が吹く。

ふわりと舞った黒髪が背中に戻ると、周りにあった巻き藁の上半分がぱさりと落ちる。
チャキ、と鞘に刀を戻して息を吐いたところで、パチパチと拍手の音がした。

「お見事」

久々知がゆるりと振り返ると、肩頬を上げて笑う立花の姿。
持っている竹刀に久々知はげ、という顔をした。

「なんだその顔は? 折角相手してやろうというのに」
「いいえ。久々に鬼指導が受けられるのかと思うと嬉しいなーと思いまして」
「棒読みで言うな棒読みで」
「だっ」

ぺしりと叩かれた額をさすりながら、久々知は竹刀を取ってくる。
なんだかんだ言いつつも素直な後輩に立花はくすりと微笑んだ。





――
ネタに困ったら戦闘練習をしようシリーズ。(?)
なんか兵助って居合とか得意そうじゃね?と思った。
居合ってかっこいいですよね。動画でいくつか見たのですが、達人は抜刀した瞬間が見えませんでした。鞘と柄と片手ずつ持ってたのに気付いたら両手で柄握ってて、鞘から柄にいつ行ったの!?って感じでほんとに凄かったです。
それと練習用の巻き藁って、人肉に近い硬さに調整しているらしいです。骨込みで斬る場合は中に竹を入れるのだとか。
やっぱり刀って人を斬るためのものなんだとなんか妙に納得しました。

あとこの二人は袴というか、剣道着?が似合いそうだなあと思いながら書いてました。描写してないけど。




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