RPG風の酒場、八左ヱ門と兵助の出会い

*RPG世界観






酔っ払い共と踊り子がわいわいと騒がしい酒場の中で、一人静かに酒を飲む男を見つけた。
存在感こそ目立たないが、洗練された佇まいと隙の無い風貌には惹かれるものがある。
隣に座ると、男はちらりと俺を見て酒を飲んだ。


「よお。あんた一人か?」
「そうだけど?」
「俺も一人なんだ。一緒に飲もうぜ」


グラスを掲げると、男はくすりと口元に笑みを浮かべてグラスを傾けた。
チン、と軽い音が鳴る。
見た目とは裏腹に気さくなタイプなのかもしれない。


「あんた、ここは初めてか? 見ない顔だ」
「ああ。俺は魔王を倒す旅をしていてな。昨日この街に来たんだ」


男が驚いた顔をした。気付けば周りも静まり返っている。
恐ろしげに周りが俺を見る中、バーテンダーがケラケラと笑った。


「お前、面白い奴だなあ。ここいらじゃあそんな大口叩く奴ァいねえよ」
「大口って。俺は本気で……」


立ち上がって反論しようとする俺を、バーテンダーが片手で制す。


「ああ、分かってる分かってる。言い方が悪かったな。
そんな勇気のある奴はこの街にいねぇよって言いたかったんだ。なぁヘースケ」
「……そうですね」


一緒に飲んでいた男はヘースケと言うらしい。
ヘースケは横目で俺を見て、口元だけで笑う。


「噂に聞いたことはあったけど、本当にそんな奴がいるとはな」
「……なんだよ、どうせ嘘だって言いたいのか?」
「何そんなかっかしてんだよ。違うっつーの」


ひらりと手を振ったヘースケは、一瞬の間に指の間に小さな紙切れを挟んでいた。


「俺は情報屋のヘースケ。あんた、魔王の情報とか欲しくないか?」


バーテンダーがゲラゲラと笑っていた。






――
バーテンはトメサブローさん。
この後次の街まで一緒に旅して、勘右衛門あたりが仲間になります。
RPGは苦手ですが、世界観とかストーリーが面白いので実況ばっか見てます。
飽き性なので音ゲーとかパズルゲーとか、さくっと終わるのが好き。




×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -