浜(破魔)と久々知(ククノチ)

*なんか人外っぽいニュアンス





幼い頃から植え付けられた使命は、あっという間に守一郎の人生を呑み込んだ。
望みもしないのに視えてしまう“魔”を無心に払い続けること。忍術の修行と共に日々強くなっていく力を、守一郎は抗いながらも受け入れていた。
それは学園に来てからも変わらず。
誰もが眠った丑三つ時、守一郎はそっと学園を抜け出して“魔”を祓いに行く。同室の三木ヱ門も、直属の先輩の留三郎も知らない、守一郎だけの秘密。
幸いにも学園の近辺は祓うモノも少なく、そのお陰か気配に敏い者が多い学園内でも気づかれることは無かった。――或いは、気付いて放っておかれていたのか。

(だとしたら、忍ってのはとんでもねぇな……)

いつもと変わらない微笑を浮かべる先輩の姿を前に、守一郎は冷や汗を流す。
いつもと同じように学園を抜け出したはずだ。
“魔”を祓うのは守一郎の生まれ持っての使命であり、合理主義故なのか学園内にはそういったモノが視える人が皆無に等しく、祓える人が自分しかいないという自負があった。

それがどうだろう。
目の前に立つ先輩は、凶暴な気配を持つ“魔”を瞬きの間に手懐けて見せた。

「やあ、守一郎」

そうしていつものように微笑んだのだ。

「……く、久々知先輩」
「こいつは祓うモノじゃないよ」
「アンタ……なんで」

戸惑いに揺れる守一郎の声に、兵助は大人しくなった“魔”を一撫でして山へ送った。
そして表情を引き締めて守一郎に身体ごと向き直る。

「俺はククノチの血を引くモノだ」

堂々とした風体は人ならざる雰囲気を漂わせていて。
声音ばかり優しい色をして、兵助はきっぱりと言った。

「浜――魔を破る者よ」

凛とした双眼が守一郎を射抜く。
不思議な色合いの瞳は、守一郎をその場に縫い付けた。

「俺の支配下にいるモノは、何一つとして祓わせない」

紅い唇が弧を描く。


山の支配者に、破魔の者が太刀打ちできるはずがないのだ。





――
なんか唐突にどこかで見た浜=破魔っていう解釈を思い出して。
そういう解釈を見るとやっぱり久々知さんを絡ませたくなるじゃないですか。
リハビリなんでいつもよりも雰囲気小説っぽいけど許せ。私自身どういう状況なのかよく分かってない。笑

たぶん浜くんがいろいろ祓い過ぎたんでしょうね!(適当)




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