利吉の教材攻撃の段後日談




五年生の課題でヘマをした生徒が出た。班長の久々知の手でどうにか彼の友人達と共に逃げ切れたらしいその生徒は取り乱し、友人達の様子からしても久々知の状態は危ういようだった。

生徒を救出しに行く時にはいつだって覚悟を決めて行く。特に久々知は昔から真面目な顔でとんでもない無茶をする子だったし、夏休み明けに教師一同肝を冷やした事件は未だに語り草だ。
――が、さすがにこれは土井も予想していなかった。

「すみません……」
「いや、いつも美味しい豆腐を貰ってるお礼だよ。組頭達も君を助けることに否やはなかったから気にしないで」
「それにしても、相変わらず無茶するね」
「仲間を助けようと必死で、つい」

あちこち包帯が巻かれた久々知を背負う尊奈門に、茶化すように苦笑しつつ隣を歩く利吉。のんびりしているように見えて、三人共気配は鋭い。
どうやら利吉と尊奈門が久々知を助けたようだ。あれ以来、時折尊奈門や他のタソガレドキの面々が久々知を訪ねてきていたことは知っていた。
知っていた、が、それにしても。

(人タラシというかなんというか……)

豆腐小僧の名は、実力を隠すためのカモフラージュだ。最近あちこちからスカウトされるほど広まっているその腕に、本来のあの子の実力が知られればどうなるかと土井と木下が畏れと期待を同時に抱いたのは記憶に新しい。
既に喜三太の高祖母リリーから風魔へのスカウト未遂にあっているのだ、あちこちから引っ張りだこになることは目に見えている。
だというのに、まさかタソガレドキと利吉まで味方につけてしまうとは。
やれやれと苦笑しつつ、土井は教え子を引き取るために消していた気配を解いた。







――
お蔵出しというか、掌集にまとめてたけど掌にしては長くね?というものをお蔵出し(結局お蔵出しである)



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