書き初め(五年生)



「ここは兵助だろ」という勘右衛門の一言で、何故か兵助が筆を取ることとなった。
とはいえ何を書けば良いのか、筆を持ちながら悩む。雷蔵にすら「思うままに書きなよ」と苦笑されてしまった。雷蔵には言われたくない。

「うーーん……だって五年代表だろ? 下手なこと書けないよ」
「なんでも良いって。好きな言葉は?」
「豆腐」
「以外でな」

八左ヱ門の質問に返すと三郎につっこまれた。じゃあ好きな言葉とか聞かないでほしい。雷蔵と勘右衛門の苦笑を視界の端に収めつつ、兵助はもう一度唸った。

「……あ」

ふいに頭を掠めた言葉。これだ。
すいすいと書き始めた兵助に、四人は顔を見合わせて手元を覗き込む。再び顔を見合わせて、照れたように笑い合った。

「……よしっ」

力強く流麗な文字。大胆に筆を運んで、五年生代表の書き初めは完成した。







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明けましておめでとうございます。
短編を上げたかったんですが、ちょっとまだリハビリが必要でした……
今年ものんびりやっていきますので、よろしくお願いします。



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