四年生頂上決戦の段 妄想裏話


四年生のリーダー対決に口出しすることになりまして。

「知力と体力はいるだろ?」
「忍術?」
「じゃあ〜……俺らと戦う?」
「いやそれお前達が戦いたいだけだろう。却下」
「何回勝負にするんですか?」
「三回くらいでいいんじゃないか」

偶然にも集まった五、六年生は四年生五人の直属の先輩。誰も何も言わないが、後輩を可愛がりたい、後輩の成長を見たい、というのも口出しした理由だろう。先輩達は後輩が大好きだ。

「じゃあもういっそ知力・体力・時の運で良かろう」

まとまらない意見に鶴の一声。仙蔵が言いながら手に持った紐に、他の四人は顔を見合わせた。

「時の運って……くじ引き?」
「最後にくじ引きさせんのか?」
「それ、知力と体力の勝負させる意味あります……?」
「分かってないな、お前達」

ふふんと笑って、仙蔵は立ち上がる。

「勝負の決着はどうでも良い。私は後輩で遊びたいだけだ」

ババーン! という効果音を背負って一切取り繕わない仙蔵に四人は戦いた。
が、そこは慣れ。かれこれ五年六年の付き合い。

「おおー!」
「潔いな仙蔵!」
「さすが!」

空気に飲まれた三人に、ただ一人文次郎だけが「それでいいのか……?」と戸惑っていた。一番仙蔵と付き合いが長い故に、自分を捨てきれない損な性格である。

「じゃあ知力と体力勝負は何をしますか?」
「そうだな……忍術と合わせるなら、体力は崖登りで良いだろう。知力はどうするか……」
「その場でさせるなら、五車の術でもかけさせたらどうだ?」
「五車の術か……」

話を戻して再び会議。
最終的にくじ引きにするなら、全員が合格できる勝負にしなければならない。特に準備も必要なく、その場でできる忍術。五車の術はぴったりだが、果たして全員合格できるだろうか。
五車の術は相手に合わせることが必要で、六年生は勿論できるが、得手というなら隠密や潜入が得意な五年生の方だ。四年生だとタカ丸や喜八郎、守一郎は出来るだろうが、滝夜叉丸や三木ヱ門はどうだろう。

「平等にこなせるものの方がいいんじゃないか? 滝夜叉丸や三木ヱ門が出来るとは思えないんだが」
「あー、確かに……普段ならともかく、張り合ってる最中だとそこまで頭回らんかもしれんな」
「ああ……」

仙蔵の分析に、文次郎と留三郎は頷く。さすが犬猿の仲、経験があるようだ。
そこで苦笑して見ていた兵助が声をあげた。

「なら、僕に術をかけるっていうなら出来るんじゃないですか?」

にこりと笑う兵助に、全員の心が揃った。

「「確かに。」」

豆腐小僧の名は学園外にまで響き渡っている。
兵助自身、実習や忍務中ならともかく、普段は表情豊かなタイプだ。五車の術をかけやすいタイプと言える。
兵助の好物さえ思い出せれば、苦手な術でもなんとかなる。
崖登りは言わずもがな、本命はくじ引きだ。

かくして、後輩で遊びたい先輩達の準備は整ったのであった。





・仙蔵と兵助

「ちょっと甘かったですかね?」
「ま、そこはお互い様だろう。ああでもしないと滝夜叉丸と三木ヱ門は失格だからな」
「そうですね、折角三人が豆腐の話題出したのに二人ともその話しないから……」
「犬猿の仲というのは厄介だな、全く。……それにしても、タカ丸はなかなかやるな」
「あの人は元々得意な方ですからね。僕は喜八郎にびっくりしましたよ。真っ先に合格するとは思いませんでした」
「やけに今回は乗り気だったようだからな。作法委員会たるもの、アレくらいは簡単にこなせなければ」
「関係あります?」

・崖の下
「おー、お疲れさん」
「お疲れ様です」
「全員登ったのか?」
「おう」
「みんな余裕だったぞ。タカ丸も守一郎もだいぶ筋肉ついたみたいだな」
「二人とも委員会のあとで鍛練してるみたいですからね」
「お前が見てやってるのか?」
「時々は。でも他の四年生が見てやってることも多いですよ」
「へえ……意外とあの二人のお陰でまとまるようになってきたのかね?」
「元々いざというときの呼吸は合っていただろう。問題は意識してそれができるようになるかどうか、だな」
「ま、それはコイツらでさえ難しいんだ。そのうち出来るようになるさ」
「……精進します」

「……それぞれ自分勝手にやっても成功するから怖いんだけどな、お前らは」

・終わり
「3.5年生……」
「まああんだけ派手な髪型ならなあ……」
「あれはあれでなんとかなりそうな気もしますけどね」
「確かに」
「いやアレはさすがに無理だろ」

「先輩そんなこと言ってないでなんとかしてくださいよー!!」
「3.5年生は嫌です〜!!」
「助けて久々知くん!!」
「「まあ頑張れ」」
「「薄情な!!」」





――
前回も書きたいなーとは思ってたんですが、久々知の「ある程度本音ではあるけど若干わざと」という解釈ド一致の漫画を描いてくださった方がいて満足しちゃったので、今回ようやく書きました

やー久々すぎていろいろひどいな。まあいいや。

あとこないだやってたコラボで、尼子神の五年生観「五年生が城に侵入すると、久々知は無茶して雷蔵がフォローする、勘右衛門が特攻隊長で三郎が攪乱、八左ヱ門は野生児。なので先生や六年生のような司令塔が必要。六年生はいざとなったらまとまる」というところをいろんな人の解釈見ながら自己解釈。(レポ知識)(観てない)
五年生は各々自分勝手に動きつつ、失敗はしないんだと思う でも導く人がいればあっさり統率取れるみたいな……
とはいえ六年と五年の実力差は結構あるようだし、なかなか有意義なコラボだったみたいでちょっと観たかったなーと思わなくもない


修正 21.12.29

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