五年生で明るいお題

title by 「明日へ行こう。」君想歌





・不思議な力(雷蔵から兵助)

昔からそうなんだよ。
柔和な先輩は、そう言って穏やかに笑った。
もうだめかもって思った時も、アイツがいるといつの間にか、そんなこと考えなくなるんだ。
普段はあんなに豆腐ばっかりなのにね。先輩は苦笑する。
アイツがいる限り、きっと僕らは離れることは無いんだろうなって、確信してるんだ。この先もずっとね。
ぼくもそう思います。だって、先輩方は絆が強いから。ぼくが言えば、先輩は今日一番の嬉しそうな笑顔になった。





・冷えていく指先(八左ヱ門から三郎)

困った奴なんですよ。
言葉とは裏腹の誇らしげな顔で、ボサボサの髪の少年は言った。
何度叱っても聞きやしない。悪戯ばっかりで、そのくせ年々変装の腕を上げやがって。見分けるのも一苦労ですよ。
ちらりと私を見やる。
でもね、アイツは絶対に俺達を見捨てないんです。
犬歯を剥き出しにした獰猛な笑みに背筋がすっと冷える。同時に今まで近くにいた同僚の気配がないことに、たった今気づいた。





・何処までもこのまま?(勘右衛門から雷蔵)

大丈夫かって思うだろ。
掴み所の無いい組の学級委員長は、いつものようにからからと笑った。
おれも最初は思ってた。いつか命取りになるんじゃないかって。けど全く違ったんだなぁこれが。
ぽん、と俺の肩を叩く。別段、俺だってそこまで深刻に考えていたわけでもないのだけれど。
いくつもの選択肢を瞬時に思い浮かべて、最善を導き出す。すげーだろ、アイツ。
なんでお前が威張るんだよ、とは言わず、代わりに、敵前でそれが瞬時にできるようになるのが課題ってとこか、と茶化した。友人のそうだな! という大笑いが響いた。





・無理を押し切る必要なんてないんだ(兵助から八左ヱ門)

強いと思います、とても。
後輩はそう微笑して長い睫毛を揺らした。
だって毎回、動物が死んだら泣くんですよ。例外なく、ちゃんと墓を作って弔ってやる。
伏せていた瞳を上げて、俺の目をまっすぐ見つめる。
それって難しいでしょう? アイツじゃなければ、きっと、動物を物のように扱ってしまうようになると思うんです。動物を愛していればいるほど。
どう思いますか? 後輩の目を見て、俺は苦笑しながらアイツが生物委員会に向いていないという意見書を握りつぶした。





・沈む夕日に手を振る(三郎から勘右衛門)

奴はいつもそうです。
珍しく、学園随一の変装の使い手が憮然とした表情で言った。
自分が楽しいと思ったことばかり顔を出して口を出して引っかき回して。私達がどれだけ迷惑を被っているか。
やれやれと肩を竦める動作が可笑しく、つい口元が緩む。
今だって私達に荷物運びをさせて、アイツは今おそらく団子屋ですよ。道中に新しい店ができていたでしょう。
よく見ている。感心していると学園の門が見えてきた。そして反対側から、大量の団子を抱えた姿が。瞬間怒り出す一人と、それをのらりくらりと交わす一人に学園へ入るように促す。
あと数刻もすれば、五人揃って団子を食べている光景が見られるだろうと思いながら。








――
りはびりんぐ。
とてもポジティブな曲を聴いて、うおー五年ぽい!と思って書いたんですが……ポジティブ?
結局いつもの仲良し五年ってだけになったような? あっ、いつもポジティブってことかな?ならいいか?(思考放棄)



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -