控え室・六日目



潮江「なんで俺だ!」
斎藤「善法寺先輩、三木ヱ門、ごめんねぇ」
平「お二人ともお疲れ様でした」
善法寺「文次郎、留三郎が推理したのが答えなんじゃない?」
潮江「……いや、ますます分からん」
尾浜「今は狐を炙り出すのが優先。兵助がもし真占い師だったら、呪殺という手段が減りますからね」
立花「それに、久々知を噛んだとしても狩人が護っている可能性が高いからな。それよりは確定白の中で狐かもしれない奴を選んだんじゃないか?」
綾部「まあ結局久々知先輩が狐なんですけどね」
潮江「なるほど。ってそうだ、久々知!」
斎藤「狐だったなんてねぇ。ぼくもう真占い師だと思い込んでましたよ」
潮江「……俺もだ」
平「しかし、狐なのに見事に占いの結果は全て当たってますね」
田村「確かに。勘……?」
斎藤「いや、たぶんだけど、最初以外は勘だけじゃないと思うよ」
尾浜「へえ? そうなの?」
立花「ほう、流石だな。直属の後輩?」
斎藤「茶化さないでくださいよ〜。……えっとね?まず尾浜先輩は判断材料が無いから確実に勘でしょ。次に潮江先輩は、役職カミングアウトも無しで一日目に目立ってたから狼ってのはちょっと考えにくい。一日目は極端に目立つか極端に目立たない人が吊られやすいからね。ぼくが狂人か狼だってことは初日にバレてるから、潮江先輩は村人陣営か狂人、つまり白しかないってこと」
潮江「……まあ、なるほどな」
斎藤「次に善法寺先輩だけど、これはほとんどの人が狼だって分かったんじゃないかなあ?三日目、三木ヱ門は“真占い師に楯突く狼”って状況に陥っていた。まだ三日目だし、三木ヱ門が白だったとしても、吊られても村人陣営は痛くも痒くもないわけ。なのに庇う言動が多かったし、善法寺先輩の説得に三木ヱ門はあっさり引き下がった。二人がグルってことは分かるし、つまりは狼ってことになる」
善法寺「あからさまだったもんなあ……」
田村「ああ……情けない……」
斎藤「中在家先輩は、多分ぼくが黒を出したのが大きかったと思う。ぼくが騙ることを苦手なのはへーすけくんが一番分かってるから、ぼくが、バレた後で吊られる可能性が高まるならスケープゴートをすると考えたと思うんだ」
立花「なるほどな。しかしあの状況で、よく長次が狼じゃないとわかったな」
斎藤「あ、それは潮江先輩の時のへーすけくんと一緒なんだけど、初っ端から役職カミングアウト無しで目立つ行動をする狼はいないんじゃないかと思って。まあ正直ほとんど勘です。へーすけくんもそこは分かってたと思うから……ぼくの勘を信じてくれたのかも」
尾浜「そうでしょうね。あいつは冷徹そうに見えて、案外人の勘だとか根拠の無い自信とか信じるやつですから」
平「へえ、久々知先輩が。こう言ってはなんですが少し意外ですね」
田村「ああ、失礼だがもっとお堅い真面目な方だとばかり」
綾部「案外柔軟なんですね〜」
斎藤「えへへ、そうなんだ。それで、今日は……たぶん、へーすけくんは鉢屋先輩が狼だとほぼ確信してると思う」
立花「ほう?」
斎藤「五日目のことを思い出してほしいんだ。狐もラストウルフも分からなくてみんなが疑心暗鬼になった時、グレーの七松先輩、食満先輩、不破先輩、鉢屋先輩の中で唯一怪しい言動をしなかったのが鉢屋先輩なんだよね。不破先輩を庇うような言動はいつものことだとみんな思うから怪しまれないし。一番怪しくないやつが犯人って言うのは、推理小説ではよくあるパターンなんだよ」
尾浜「タカ丸さん、推理小説はこの時代にはありません」
斎藤「あ、ごめんごめん」
潮江「メタ発言をするなバカタレ。まあ、だがそうやって久々知はうまいこと欺いていたんだな」
田村「はあぁ……凄いですねえ……」
立花「運が味方についていたんだな。それにしても、斎藤もよくそこまで理解したもんだ。小平太なんて今の説明を聞いてもちんぷんかんぷんだったと思うぞ」
斎藤「えへへ……ありがとうございます」
綾部「説明してる間に、七松先輩に脅されて鉢屋先輩がラストウルフカミングアウトしましたよ」
潮江「小平太……!」
立花「脅されてって……これは心理戦だろうが」
善法寺「まあ、小平太らしいと言えばらしいけどね……」
尾浜「なんか変なノリになりましたね。なにあれ。超楽しそうなんだけど」
平「……五年生って……」
斎藤「そこが五年生の良いとこだよお」

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