ずっと明けないように感じて 2


少年の胸元の釦を外し、薄い胸に指を触れる。
蝋燭の炎にほの赤く染まった肌が、まるで男を誘うよう。

都合のいい勘違いだとおのれを嗤いながら、アランは誘惑に駆られるまま、白い肌にくちづける。
薄く色づく胸の先へ甘く歯を立てれば、わずかに身じろぐ細い肢体。

「ぁ……」

無意識だろう微かな声に、呆れるほどに鼓動が早まった。
含んで嬲ると、少年が、こくり、と息を呑んだあと、震えるような吐息をこぼしだす。

「――は……っ、」

弱く抗う身体を抑え込むことは、いまなら容易い。けれど敢えてそれをせずに、少年が快楽に四肢を震わせるさまを楽しんだ。
普段は人形のように整って涼しげな白い面が、赤く上気し喜悦の色に染まる。
細い指がすがるようにアランの袖をつかんだ。

いかに大人びてはいても、だれかと肌を合わせた経験などこれまでにないのだろう。
だれも手を触れたことのない美しい宝石。それをこれからおのれが汚すのだと思えば、身体が灼けるように熱くなった。

自分らしくもなく震える指に苦笑しながら、少年の下衣を寛げる。
緩く芯をもったものが喜ぶようにふるりと揺れるのを手に確かめれば、胸の内が荒々しい欲と、甘い痛みとに満たされた。

「ン、ぁ……は、っ」

強く弱く、力をこめて扱くと、薄紅色のくちびるから細い声が上がる。
いつもの涼しげな彼の声とは似つかぬ艶めいた響きに、どうしようもなく欲を煽られた。

他人の手で責められるのが初めてなのだと知りながら、手加減をしてやる余裕もなく追い上げ、追い詰める。

「――っ!」

声にならず、全身をこわばらせる幼い身体。
びく、びく、と跳ねたあと、くたりと長椅子に沈んだ細腰を抱き寄せて、白い腹の上に散った雫を舐め取った。
まだ硬さを失わない芯へとそのまま舌を這わせると、少年が苦しげに喘いで身じろいだ。初めて味わう強い快楽を拒むことも、うまく受け止めることもできずに、責め苦に耐える顔が、こちらをひどく煽ってくれる。

すでに抗う力などその身に残ってはいまい。

けれど、僅かばかり吸い込んだ阿片の効き目もまた、とうに切れているはずだった。

「……正気に返ったおまえに、叩きのめされたくはないからな」

脱がせたシャツで少年の両の手を縄めると、長椅子の肘掛けに括り付ける。
されるがままに鎖に繋がれた彼の、かたちよいくちびるが、わずか、嘲るような笑みに歪んだ。

もっともらしい言い訳の裏に隠した、おのれの無様な胸の内を見透かされたように感じて、アランはついと目を逸らす。

「……いい子にしててくれよ」

少年の精に濡れた指で、幼い身体の奥を探る。
さして抵抗もなく、長い指を飲み込む、熱い身体。
手荒にしてしまいたい衝動を抑えて、丁寧に中を探っていき、

「……っ、く……」

そうして見つけた弱みをしつこいほどに嬲ってやれば、少年の身体の中心で震える幼い芯が、とろり、と露をこぼしだす。

「……どうだよ、マクシム。あたまの中をぐちゃぐちゃにかき回されるみたいで、最高の気分だろう?」

今だけは、狂ってしまえる。

生まれも立場も、胸に抱える想いも、いまの状況すらも――すべてが滅茶苦茶にかき混ぜられて、意味のない粉々の破片になる。

「なあ……いいだろう?」

二度目の精を吐き出して荒い息をつく相手に、低く囁きかければ、

「……は、っ――なるほど。……悪くない、遊びだな」

苦しげな息の合間に小さく肩を揺らしだした少年が、微かに皮肉げな笑い声をこぼした。


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