円堂は俺のこと好きか?
そう、円堂に問いかけると、こくっと頷き、少し頬を染めた守が、好き。と肯定を示してくれた。嬉しさのあまり円堂を俺の腕の中に閉じ込め、
「俺も守が大好きだ」
と、その言葉を囁きながら守の唇を指でなぞる。その少し妖艶な顔。誘われるように唇をくっつけ、ちょっとだけ熱っぽいキスを交わした。
・・・なんて。
世の中そんなに甘くないというか、なんというか。そんなのただの空想でしかないわけで。練習の休憩中に一人妄想に暮れていた南雲は、急に羞恥でいっぱいになり顔を真っ赤に染めたが、基山と涼野に誤解され「変態」(お前らには言われたくねえ。とくに赤髪)と言われ今に至るのであった。
エイリア学園を終え、雷門に引き抜きされて。初めて円堂を知ってから随分と日がたった。グランの野郎が気に入ったという円堂守を潰しにかかろうとし、雷門に入り込もうとしたあの日から。基山のお気に入りがまさか自分のお気に入りになるなんて知る由もなく。散々傷つけてきた俺らをまるで何にもなかったかのように難なく許してくれた。だから俺以外のエイリアのヤツらも、もともと雷門にいるヤツら、しまいには世界中まで魅了するであろう円堂守に惚れている。現在進行形で。
「はあ・・・。」
あの妄想のように気持ちを伝えられたらどれだけよいか。残念ながら俺はあの変態赤髪ビッチのように素直でもなく、色素薄い暴風頭な厨二病者のみたいに人なつっこく甘えることも出来ない。この皮肉な性格を今更だがものすごく憎く感じる。
「なぐもーー!」
円堂がこちらに向かって走ってきた。マネージャーが水を配るのを手伝っているだけなのは知ってる。だから「おー」と、愛想悪い返事だけ返しておいた。
「お前はスゲェな」
ん?とハテナマークを浮かべてこちらを見る。強い目。グランの野郎が好きになった理由も、今なら分かる気がする。
「ほら、みんなに好かれてんだろ?俺は人からあんまり優しくされた覚えねえからな」
「そうか?でも、俺南雲のこと好きだけどな」
は?何言ってんのコイツ。あ!そうか。いつものアレか。特に深いイミはないってオチだろ?あー納得!納得!なんてたって鈍感フラグマスターの円堂さまだもんな!俺は騙されねえぞ!
「南雲はおれのこと好きか?」
おい、ここまで言われたらどうすんだよ。少し頬を染めて、つけるならばニコッという効果音が似合うこの可愛い表情で問いかけてきた。もちろん答えはYES。だが、この口は言うことを聞いてくれねえんだ。
「え……あ…」
俺は多分、いかにも「大好きです」って言っているような顔してるんだろな。顔が熱いし、心臓動くのはえーし、直ぐに反論できないこのキョドりかた。端からでも図星って分かるだろう。
「……なんてなーちょっと冗だ……ん?……な、なぐも?」
「は、……え…あ!……ばっばーか!」
ばーかを連発し、その場を去る俺。否定にもなっていないこの言葉が、まさか数日後付き合うことになる言葉だったとは思いもしなかっただろう。
その時、円堂はその場にしゃがみこんでしまい、耳まで真っ赤に染め上げる。
「ばかはどっちだよ、ばーか。」
拙い言葉は確かに届いた
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タイトル通り、拙い文ですいません!南円大好きです!こんな素敵企画に参加させてもらえて良かったです!彩香様ありがとうございました!