バリエはぶるぶる震えながらも、森の真ん中の広場にたどり着くことができました。
そこでは、森の友だちが集まっていて、バリエをはげましてくれました。でもブラックだけはなにも言わず、心配そうにバリエを見ているだけでした。
バリエを連れていってくれるのはタカのおじさんでした。
「それじゃ行くぞ!」
おじさんはそう言って、宙にうきました。バリエはあわてて急いで叫びました。
「ぜったい戻ってくるよ!」
その時、バリエにはブラックが少しだけうなずいたように見えました。
「どうだ、月がきれいだろう?」
バリエは落ちないようにつかまっているのがやっとで、空を見る気にはなれませんでした。でも、ふっと見ると、空に丸くて黄色いものが光っています。
「わぁ……」
バリエがそんな声をだしたその時です。風がふき、バリエは思い切りとばされてしまいました。
14/36