急に、ビューっと強い風がふいてきました。コオロギの細いあしに力が入ります。必死にかぶっていたぼうしを抑え強い風をがまんしました。
風がやむと、コオロギはカエルに言いました。
「今日は風が強いね」
「う、うん」
カエルはぶるぶる震えながら返事しました。でも、寒くてふるえていたのではありません。
今日の夜はカエルが空をとぶ日なのです。とぶと言っても、カエルがとべるはずありません。鳥の背中に乗って森を一周するのです。それはカエルが大人になるために、みんながやらなきゃいけないことなのです。でも、風にとばされて鳥の背中から落ちてしまうカエルはたくさんいます。バリエのお兄さんはそれで死んでしまいました。
無事帰ってくることができたら、立派に大人の仲間に入れてもらえるのです。それにそのカエルは森のヒーローだと言われるようになります。
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