月夜の晩餐会
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「ただいま」
僕は勢いよく家の扉を開けた。
玄関にはママが立っていた。手にはほうきを持ってほこりを懲らしめていた。
「おかえりなさい。随分遅かったじゃない、うちの赤頭巾ちゃんは」
僕はにっこり笑って、ママにおつかいをしてきた証拠をしっかり手渡した。
「今日はおばあちゃんに話したいことが沢山あるんだ」
「あら、なあに? ママも聞きたいな」
「駄目だよ。おばあちゃんが来てからのお楽しみなんだから」
僕はそう言いながら、長靴を抜こうと頭を足にくっつけるようにして体を二つ折りにした。
僕は目を疑った。
左足と右足の間から、逆さまに映った猫がしゃがみこんでいた。
真っ白なふわふわの毛と真っ赤な眼が印象的な猫だった。
僕は姿勢をもとに戻した。
「ママ、猫がいる」
(22/26n)
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