臆病な天気予報士と幽霊マニアの少年
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《歌唱力試験》というのは、発声から童謡、民謡、古典的なもの、他にも沢山あり、とにかく歌に関する総合的な試験なのだ。
 その試験で落ちるということは、音楽の科目は及第点は貰えないということになる。この試験は音楽の点数の約八割を占めているからだ。だから、みんな必死で勉強する。
 僕もそのせいで、いままで一度も落ちたこと無かった。

「これで、悪魔のレポート提出か……」

 僕はうなだれた。

「僕も一年生の時やらされたけど、もう二度とやりたくないな」

 ウェスリーは本当に嫌そうに、苦虫を潰したかのような顔をした。

「僕はこれから、それをやらなくちゃいけないんだから。嫌になるような事言わないでくれよ」

 試験に失敗した場合、再試験に加えて、レポートを提出しなければならない。
 けれど、それは一晩寝ないくらいで書き終わる代物ではない。
 まず、自分の試験に対する反省点を書き、偉大な音楽家十人について調査するのだ。それは規定で最低でも五十枚に及ぶ。

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