もしも、貴女と僕しか存在しない世界がどこかにあったとしたなら、僕は貴女を醜いだなど思いやしなかったでしょう。醜いとは、その程度です。貴女の存在に罅が入るものでは到底有りません。そもそも、美しさや醜さなどどいうものは、比較した結果に過ぎないのです。醜さを知らぬ人間に美しさなど理解できる筈が無いのです。世界はどうして何かと比べなくてはいけないのでしょうか。僕は貴女を美しいと思ったから共に居るのでは有りません。誰かと比べた結果、選んだのでもありません。そんな低次元な理由では無く、そうせざるを得なかったのです。醜さや美しさという表面上の一時的な間違いに誤魔化されず、僕は貴女を探し当てました。
貴方の世界の中で、どうか未熟者の僕を育ててください。
いつしか、成長した僕は貴女から離れてゆくでしょう。けれど、泣かないでください。そこは世界の終りではありません。僕は貴方の作り上げた世界の中で生きているだけに過ぎないのです。貴女は何時でも、限りなく絶対的で唯一の救いなのです。
春が夏を迎えるように、それはごく自然の成り行き。
僕は今日から貴女の息子に成りました。
※アイコノクラズム=偶像破壊
【完】