けれども、なにも映すことが無かった僕の瞳に貴女の姿を初めて捉えた時、僕らの関係が逆転してしまうほどの錯覚を覚えてしまいました。これまで築きあげてきた僕の中の貴女、の圧倒的で絶対的な領域はかくも脆く崩れてしまいました。僕は信じられませんでした。美しいと思われていた姿はどの白い世界の中の若い申し子より醜かったのです。いいえ、貴女は完璧な筈です。僕の創造主なのですから。

 恐らく僕という闇を抱えたどす黒い癌を抱えてしまったばっかりに貴女の姿形まで変えてしまったのでしょう。僕は悔やんでも悔やみきれません。どうしたら、以前のような美しさを取り戻せるのでしょう。僕はそれだけを思い、これから生きてゆかねばならないのでしょうか。

 けれども、貴女が醜くとも僕らの関係が逆転してしまうなどよもや思いやしません。
 そのような思いあがりを抱ける程、僕は身の程知らずではありませんし、貴女無しで生きてゆけないことには変りないのだから。

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