「うん……、何か足りない気がする。こんな広い部屋に誰も居ないなんて、僕は一人で住んでいたのだろうか。遠い昔、誰かと結婚した様な気がするのだけれど……、思い出せない」

 突然、男の目にあるものが飛び込んで来た。周囲の未来的で完璧とも思える様な機械の中でそれは異様に思えた。男はそれを見て懐かしい気分になった。男は慣れた手つきでテレビの電源を入れた。

 映像が流れ始めると、そこからは意味の分からない言葉を話すキャスターが何かを伝えていた。キャスターが画面から消えると、今度は見たことの無い惑星が映し出されていた。地球では無いようだった。

「さっぱりわからない。このテレビは外国の番組でも受信しているのだろうか」

 男は暫くテレビを眺めていた。
 テレビの中のキャスターは歴史に残る大事件を興奮気味に訴えていた。

「あと五時間で地球は地中深くに埋められた核爆弾で破壊されてしまうのです。私たちはエデンという新しい地へ逃れる以外に方法はないのでしょうか」

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