3 きらきら





「しかし、ほんとになまえって紅炎様に好かれてるよね〜」





『は?』






お昼過ぎ、仕事がひと段落し、ハルちゃんと2人で中庭の掃除をしているとき、ハルちゃんがそれは嬉しそうに発した言葉に目を丸くする。







「普通、一緒に朝ごはん食べるとかあり得ないよ!」




『そ、それはそうだけど…』






私にとってはただの拷問でした。







「それに、毎朝起こしに行くのだって、ご飯を運ぶのだって、紅炎様直々に命令されたんでしょ?」





『ま、まぁ…』







いやあ、すごい。と言ったハルちゃんは完全に私をばかにしている。





『もう!ちゃんと掃除しなよ!』




「はいはーい!」




未だにニヤニヤとしているハルちゃんに怒ってみたものの、なんでも話し合える仲であるハルちゃんとの仕事はどんなことだって楽しい。





『…?ハルちゃん…?』




さっきまで2人できゃっきゃとしていたハルちゃんの表情が急にぴしっとしたと思うと、膝をついた。














「なまえ。」




『…っ!こ、紅炎様…!』





私とハルちゃんとは正反対の低い声が響いたことによって、背筋が凍る。かちかちに。





その声に反射とも言えるようなスピードで膝をつく。






ハルちゃんと2人して膝をつき下を向いているので紅炎様のお顔は伺えない。








さ、さぼっていたのばれたのか!?いや、でも、喋ってはいたけれどちゃんと箒は動かしていたしっ!!





嫌な汗が流れる。



隣にいるハルちゃんもきっと同じことを考えているに違いない。











「書庫へ行く。着いてこい。」




『え…』




「返事。」




『はい!』






ぽんぽんと頭を撫でられ、顔を上げた頃には紅炎様はすでに踵を返していた。







見た感じ、怒っているわけではなさそうだ。






ハルちゃんと2人で胸を撫で下ろす。






掃除任せてごめんね、と顔の前で手を合わせると、笑顔で手を振ってくれた。











紅炎様は歩くのが早いし、待ってはくれないので、急いで後を追った。








2014.3.1




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