11 つきまとう






ぴしゃり。





顔に飛び散った血は冷たく、ドロドロとして気持ちが悪い。







『か、母さま…』




目の前の光景に、涙を流すことも忘れて硬直しきった身体は誰のものなのか動かすことができずにいた。







ぴしゃり。





今度は首筋に飛び散った血。






冷たい。つめたいきもちわるい。






『父さま…』







つめたいつめたいきもちわるい。








次に刃が向くのは私だろう。




どこかで冷静な私が逃げろという。







しかし身体は動かない。












『や、ぁ…やめ、っ…』





声にならない声。









ぐさり。






『いやあぁあぁああぁあ!!』





最後に飛び散った血は、私の左腕から。























『っ!!!!…ぁ、』






夢だ。





目を覚ますと、見慣れた天井。








夢だ。夢だ夢だ夢だ、と言い聞かせ呼吸を整える。








時計の針は、みんなが起きる時間までまだもう少しというところだった。







2014.3.13




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