[1 足並み揃えて]
『うわ、えらいこっちゃだ。』
久しぶりに帰ってきた家は、私が記憶を失っていた時間の長さをよく表していた。
ジュダルの絨毯に乗ったまま眠ってしまい、着いたぞという声に目を覚ますと懐かしい街並み、とりあえず1番に自分の家に帰った。
『まずは掃除だね。ジュダル、手を離して?』
ジュダルはぎゅっと私の右手を握ったまま離さなかった。
私の声が聞こえなかったのか、考え事をしている様。
『ジュダル…?』
「あ?あぁ、」
シンドリアを出て、絨毯に乗っているときから様子がおかしいと思っていた。
ーーもうどこにも行くんじゃねーぞ。
ジュダルの言葉を思い出しす。
『ジュダルが守ってくれるなら、どこにも行かないからね。』
「っ、」
『よし、掃除!布団を干して、窓と床を拭こう!』
また一からスタートだ!と、子供みたいに少しはしゃいでみた。
2013.2.16