14 堕ちるということ




「…なまえ?!おい!どうしたんだよ!」




目の前には、廊下だというのにうずくまり、両手で自身を抱きしめるなまえ。




その肩は震えており、名前を呼ぶとさらにびくりと震わせた。






『じゅ、だる…うぅっ…』




「もう大丈夫だ。なにがあった?」




顔を上げたなまえをすかさず抱きしめると、大きな目からは止めどなく涙が溢れていた。







『うっ…ぅ…』



「なまえ…」






とても話せる様子ではないなまえを抱え、とりあえずここはまずいと思ったので俺の部屋へと向かうことにした。










部屋に戻っても、一向に落ち着くことのないなまえを膝に乗せて抱きしめ背中をさすってやった。




こんなこと、いつもは絶対やらせてくれない。


それだけなまえの精神状態が悪いということだ。







なにがあったのかは全くわからない。




だが、こんななまえを見るのは初めてだ。







恐れていたことが起こったのかもしれない。





なまえを煌に連れてくる最大のデメリット。



組織との接触。






それだけは避けるために、できるだけなまえと一緒にいるようにしていた。





なまえをこんな状態にしてしまった組織と、自分に心の中で舌打ちをする。






腕の中で大粒の涙を流すなまえの名を呼び、抱きしめ背中をさすることしかできなかった。





2014.4.7


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