12 前をみて


『散歩って、どこいくの?』




「んー、決めてねぇ。」






なんじゃそりゃ。と思ったが、何もしていないのに隣でなぜが楽しそうなジュダルに私も楽しくなってしまう。






ジュダルといると、それだけで楽しいし幸せだ。




それはジュダルと出会ってからずっと変わらないこと。








「そうだ!」




『へ?なに?』





急に何かを思いついた様子で足を止めたジュダルに、私も同じように足を止めた。









『っ!ジュダル!?』




「ほら、じっとしてろ。」





急に腕を引かれたと思うと、そのままジュダルによって抱えられてしまった。





「つかまっとけよ!」




『え、あ、ちょ!』






その声にとりあえずジュダルの首に腕を回した私。





そして、それを見たジュダルがいっきに地面を蹴ったので私は今度はぎゅっと力強く目をつぶった。








「ほら、目開けろ。」




『…た、高い…』






目を開けるとそこは、お城の屋根の上で、私が目を開けたのを確認したジュダルは、そっと私を下ろしてくれた。










「ここ俺のお気に入り!風が気持ちいいんだぜ!」





そう、変わらず楽しそうな調子でジュダルはその場に腰を下ろした。







『ほんとだ…』






風だけでない。


澄み切った空気とお日様の光もなんとも心地よい。







ジュダルの隣に腰を下ろすと、ぎゅっと右手を握られた。





ジュダルの手は大きくていつも私を包んでくれる。





ああ、幸せだ。













ー貴女とジュダルは恋人同士なんでしょう?







『っ!』




「ん?どーした?」






繋がれた手に幸せを感じていると、不意に先ほどの紅玉の言葉が頭を過ぎり、顔に熱が集まる。






恋人同士…



本当に意識したことがなかった。





だから今までもこうやって手を繋いだり、だ、抱きしめあったり…あわわわ











「熱か?顔赤ぇーけど。」




『ち、ちがうっ!大丈夫!』







覗き込むように私の顔を見るジュダルに身体をのけ反る。









あぁダメだ。意識してしまったら。






2014.3.26
ジュダルと白龍はでてこないのかななんて。

来週で最終回なんてさみしいです。



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