8 知らなかったこと

あたたかい日差しに目が覚める。






『あれ?ジュダル…』






昨日ここにジュダルがいた気がした。







布団の隣を触ると、まだ少しあたたかい。


やっぱり隣にジュダルがいたのだ。








『もういったのか。』






寂しさを抑え、ベッドから出る。





今日は街の友達のみーちゃんと買い物に出かけると約束をしている。











『みーちゃーん!おまたせ!』




「なまえ、遅い!」




『ごめんごめん汗』






みーちゃんは親友で、なんでも相談に乗ってくれるとても優しい女の子だ。






そして、今日も…







『ジュダルにね、プレゼントを渡そうと思うの!』





「え?なんで?」






『最近お疲れみたいだから、元気つけたくて〜なにがいいかな?』







そう、ジュダルは最近忙しいみたい。




だからあんまり会えてなくて…






なにか私も役に立ちたい!








「そっかあ〜じゃあ、ジュダルくんはなにが好きなの?」




『桃!』





「ほ、他は?」







ん〜、ジュダルの好きなもの…







『わ、わからない…』



「はあ?なにそれ!ていうか、ジュダルくんはなんでそんなに忙しいの?」



『えっ』






確かにそうだ。



いや、大体いつもどこから来ているのか。






それだけじゃない、そういえば、前に男に襲われそうになったのを助けてもらったときに見せたあの黒い玉はなんなのか…








そう考えると、どんどん疑問が浮かんでくる。







「なまえ!なまえ!!」



『えっ?あ、ごめんみーちゃん。』




「もー、大丈夫?どーしたの?」




『みーちゃん。あたし、ジュダルのこと全然知らないや。あんなに近くにいるのに、全然知らない…』





悲しいなと思った。




大好きなのに。





「なに暗い顔してんの!」



『えっ?』



「知らないなら、聞けばいいじゃん!」




『聞く?』




「そう!次会ったとき、ジュダルくんのこといっぱい聞けばいいの!」




そうか、そうだ。





知らないなら今から知ればいいんだ。




聞こう。


ジュダルのこと、教えてもらおう。






『ありがと!みーちゃん!』




急にジュダルに会いたくなった。





早く来ないかな。




だが、それから一週間経っても二週間経っても三週間経ってもジュダルは来なかった。













ーーーーー



「っ!やめろ!」



〔ジュダル。お前にとってあの小娘はよくない。忘れるんだ。




「嫌だ!あいつはかんけーねえ!!」



〔そうか、ならば仕方ないな。






「やめろ!やめろ!!」






意識が朦朧とする。



"組織"のやつらがなにをしているか知らないが、俺は絶対になまえを失わない。





「なまえっ…なまえーっ…」






2014.1.11

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