[4 ゴロゴロします]
「それにしても、お前って弱いのなー」
『はっ!うるさい!』
なまえと並んで家まで帰る。
黒く汚れたなまえのワンピースを見るとやっぱりあいつらは許せないという思いがこみ上げる。
俺は弱いやつは嫌いなはずなのに、そういえばなぜこいつは嫌いにならなかったんだろう。
むしろ、好きだ。
赤い屋根の家に着き、なまえはお茶の準備を始める。
その姿をぽかーんと眺めていたが、あることに気づきはっとした。
「なまえ…?」
まちがいない、明らかになまえの手が震えているのだ。
『なにー?…え、あ、なんだこれ』
さっきのことのショックは思ったより大きかったようだ。
「なまえ、来い。」
『じゅ、だる…』
なまえの手を引き、ベッドに連れていきそのまま寝転んで抱きしめた。
わずかに震えるなまえの体。
どうしたらいいかわからず、ひたすら抱きしめる。
『ジュダル?』
どれくらい時間が経ったか経っていないか、なまえが顔を上げて俺を見た。
何本も残る涙の跡。
悔しい。
こんな思いさせてしまった。
もっと早く助けていれば。
そう思うと自分への怒りが収まらない。
『ジュダル!!』
ぺち、と頬になまえの手が置かれる。
その手はもう震えていない。
『もう大丈夫だから。だから、』
優しい微笑み、そこにはいつものなまえがいる。
『だから、そんな顔しないで?』
そう言って、なまえは笑った。
かわいくて、小さくて、弱っちいなまえ。
「っ、ばかなまえ」
『はあ!?なんで!』
「うるせーよ」
ちゅ、と唇を合わせてみた。
柔らかい感触にくらくらする。
『じゅ、ジュダル!』
真っ赤になって照れるなまえはやっぱりかわいくて。
こいつは弱い。
だから守る。俺が。
そう心に誓った。
2014.1.11