[2 あたたかい毎日]
少女、なまえは1人で住んでいた。
親はすでにいなく、唯一の兄は旅人で年に一度帰るか帰らないかといったところ。
しかし、街の人々や友達によくしてもらい、店もそこそこ繁盛していて、孤独ではなかった。
特に、少年ジュダルと出会ってからはとても幸せな日々が続いていた。
ジュダルが来るのはたいてい日が傾き店を閉める頃。
2人で店の片付けをし、夕食の準備をして、そして2人で食事をする。
『それでね、転んじゃってー』
「まじで?ほんとダッセーなーなまえは!!」
前髪をかきあげ、なまえはおでこにできたすり傷をジュダルに見せた。
それを見て大笑いするジュダルに、なまえは頬を膨らませた。
それを見てまたまた笑がこみ上げてくるジュダル。
『ジュダルのばーかっ!』
「ははっ、わりーわりー!」
相変わらず笑っているジュダルにやれやれ、となまえは夕食の片付けを始めた。
口ではああ言うものの、こうやって会いに来て一緒にご飯を食べてくれるジュダルのことを、とても大切に思い、慕っているなまえ。
彼が現れてから本当になまえの生活は明るくなった。
そして、ほんとうにジュダルのことが好きだ。
ーずっと一緒にいたいな。
「なー、拗ねんなよー」
頭ではそんなことを考え、お皿を洗っているなまえの後ろから抱きつくジュダルにくすぐったさを覚えた。
2014.1.11