27 ずっと




『よいしょ、っと。』







ピスティやヤムライハからもらった数着の服、ジャーファルからもらった写真や絵がたくさん載った本、そして、シンドバッドからもらった腕輪や首飾り。



それらを大事に包んだ布を片手に城を出るなまえ。




全ての荷物を包んだそれはなまえ1人で持つことができるほどの大きさだ。




しかし、それらにつまった思い出などはけして抱えられるほどではない。






それを1番よく知っているなまえは、名残惜しそうに城内を見回しながら歩く。

















城を出るとまず、早くしろ。と言わんばかりの表情を浮かべるジュダルと目が合う。




もうちょっと待ってね。と眉を八の字にすると、ぷいと顔を背けられた。








最後にもう一度お礼をと、シンドリアの皆へ視線を向けるとなんとも言えず胸が熱くなる。








「ほら、また泣く。」





シンドバッドが器用になまえの涙を拭う。










「おい、シンドバッド。」





もう我慢ならない。と言った様子のジュダルはなまえの後ろから腕を回した。








『ちょっと!ジュダルおとなしくしてて。』






不服そうにまたぷいと背を向けるジュダルは放っておいて、仕切り直す。








『あの、みなさん、その、お世話になりました!それで…』





シンドバッドさんをはじめ、お世話になった人たちの顔を改めて見る。








いろんな思い出が浮かんでくる。





胸が、頭が熱くなる。







あぁ、私は、私は、









『みんなのことが、すごく、すごく大好きです。』






頭の中で考えていたお礼の文章はとっくに家出してしまっていて、自分の感情のままに言葉を発してしまう。







『ほんとうは、ずっと、ずっと、一緒に、いたいです。』





泣きながらでも、めちゃくちゃでもいいと思った。







それでも、伝えなければ、と。








『この国を、出ます…でも、やっぱり、さみしいです…っ』






「「なまえ!!!」」







その声になまえに飛びつくヤムライハとピスティ。





「私だって!私だってさみしいわよ!なんで出て行っちゃうのよ!」





2人もポロポロと涙を流していた。







「最後まで泣き虫なやつ。」





そういうってなまえの頭を撫でるシャルルカンも涙を堪えているようだ。





「泣くな。また会える。」





「なまえ、あなたは賢い女性だ。強く生きるのですよ。」







それに続いてマスルールとジャーファルもなまえの頭を撫でた。










「なまえ。」




シンドバッドの声が響くと、ぱっと顔を上げるなまえ。






先ほどと同じようになまえの涙を拭うが、それはとどまることはない。






『シンドバッドさん…』





「また会おう。必ず!」





『はいっ!!!』






この国に来て、この国で生きて、1番の笑顔を見せた。






2013.2.15



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