21 右手に握った決意


『ま、まはらがーん…?』




「そう!謝肉祭!!君は初めてだったな。」








目の前に見える大きな大きな魚。




先ほど、シンドリアに現れたこの大きなお魚をヤムさんとシャルがやっつけるという私にはとても衝撃的なことが起こった。







「てか、お前びびりすぎ!!」




『はっ!』






そして、隣ではこの魚をやっつけた張本人がケラケラと笑っている。





そりゃあ、あんなの初めて見てびびらない人なんていないと思う。






「ばかね!なまえは初めてだったんだからしょうがないでしょ!」




「なんだよ、お前は黙ってろよ!」






がやがや




またいつもの2人が喧嘩を始めたところで、私の元にシンドバッドさんが訪れたのだ。











「謝肉祭というのは、まあ、簡単に言えばこの国で行われるお祭りのことさ。」




『お祭り!!』





お祭りという言葉に、胸が躍る。




記憶を失う前もこういうのが好きだったのかなとか…






「今日の夜にあるから、楽しみにしていなさい。」




『はい!』





そう言って、私の頭を一撫でし、シンドバッドさんは去って行った。










お祭りか…

ちょうどいいところかもしれない。








私の決意を、みんなに聞いてもらうには。






ーーーなまえ、なまえ



夢に出てきた、黒髪の男の子の声が頭から離れない。





なぜか、理由はわからない。

でも私は、あの人に会わなければならない。


そう思った。









「険しい顔してるぞ。」




『わっ』





急に頭に重さを感じたと思えば、マスルールさんと目が合う。



そんなに険しい顔だったのか、と笑って見せたらマスルールさんはいつもの無表情、しかし、心なしか柔らかい表情であった。




2014.1.27



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