17 ばたばた

体調も全快し、ベッド生活も終わっていいとジャーファルさんに言われ、少しずつ身体を動かしてもいいようになった。






始めのうちは、散歩などをしていたのだけれど、それだけでは暇なので最近は雑用や掃除などもしている。








『よいしょ、っと…』






そして今、頼まれたたくさんの書類をジャーファルさんに持っていっているところだ。






この時間なら、ジャーファルさんは執務室で王の手伝いをしているはず。







『どっちだっけなあ…』





確か、執務室はこの階段を下りて…







城は大きすぎて、まだまだ迷ってしまうことが多い。






たくさんの書類のせいで、足元も見えづらく、ふらふらとした足取りで階段を下りる。








『…っ、あ!』






しまった。と思ったときにはすでに遅く…





案の定、足を滑らせた私の身体は階段を飛び降りるような形、それもまだまだ降り始めでかなり高い位置から落ちてしまったのだ。







次に襲われるであろう痛みに備え、目をぎゅっと瞑る。








…ばふっ



………









『…あれ?』







来るはずの痛みはなく、誰かに抱きかかえられているような感覚にそっと目を開ける。







「大丈夫か」






目の前に赤い綺麗な髪をした男の人の顔があった。








どうやらこの人が私を助けてくれたみたいだ。などと呑気なことを考えていたら、もう一つ別の声が耳に入った。







「ぷはっ!だっせーー!」







隣にはもう1人、白い髪に色黒の男の人がいた。





「どこまで行くんだ?」





『えっ、あ、書類を、執務室まで…』





「…」



赤い髪の人は、それだけ聞くと私を下ろし、そして私から書類取り上げ、スタスタと階段を上り始めた。





「はっはーん!マスルールくん、男前ー!」





白い髪の人もその後ろをついていく。






「なにしてんだよ。執務室行くんだろ?来いよ。」





そう言って白い髪の人は私の手を引いた。







ああ、執務室は階段の上か、そうだった。そうだった。







『あの、すみません、ありがとうございます!』




「いいって、いいって!」




「…」





なぜか白い髪の人が応え、書類を持ってくれている赤い髪の人は無言だった。







2014.1.20


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