照りつける太陽の下、今日も岩鳶高校の水泳部はがんばっています。







『暑いなぁ』






泳いでいるみんなとは違い、プールサイドは暑く、麦わら帽子をかぶり直した。








江ちゃんはストップウォッチと記録表とにらめっこし、天ちゃん先生は少し眠そうだ。






江ちゃんとはちがって、あまり水泳の知識がない私は今日もみんなのドリンクを準備したりプールサイドの掃除をしたりしていた。









『あっつ〜』







しかし今日はほんとに暑い。








さっきからクラクラするのもきっとこの暑さのせい。






プールを見ると、みんな真剣に泳いでいる。





私も負けずにがんばらなくちゃ!!





よろけそうになる体を、一歩足を踏み出して踏ん張る。













「それじゃあ、10分ほど休憩にしましょう!!」







江ちゃんの声でみんながプールから出てくる。








「りんごちゃーーんっ!ドリンクちょーだい!」





『渚おつかれさま!』






「りんご、俺も!」





『真琴も怜くんもお疲れ!…って遙!まだ水入っちゃダメ!もうちょっと休憩して!』







まだ2分も休憩してないのに、遙は水に入ろうとする。



「分かった」







くらっ…




あ、目眩。またクラクラ。





「りんご…?大丈夫?」




真琴が心配そうに顔を覗き込む。






心配かけちゃいけない。






『ん?大丈夫だよっ!!』





笑顔を見せ、少し麦わら帽子を深くかぶる。





しんどい。


さっきより大きなクラクラ。




あ、ダメだ。





朦朧と、見たこともない真琴の顔と、「りんご!」と呼ぶ声を最後に意識を手放した。
















ーーーーー






ーーーりんご!りんご!!









「りんご!!!」










目を開ける。





白い天井と、泣きそうな真琴の顔。




どうやらここは保健室のベッドのよう。








「りんご!大丈夫!?」






『ん、あれ、ごめん、なにこれ。あ、』








ぎゅぅ…








真琴に思い切り抱きしめられる。





痛い、重い。





でも、あたたかい。








そうだ、プールサイドで。









『私、かっこわる。心配かけてごめん。』






真琴は抱きしめる腕に力を入れ、私の肩に埋めていた顔を上げた。







「りんご…」





悲しそうな声。やめてよ。







体を離し、両手で私の頬を包む。





顔と顔の距離が近すぎて、恥ずかしい。







「りんご、朝からしんどかったの?」






『ううん、練習中に少し目眩がして…』








真琴の顔、悲しそう。







「そっか…ごめん、俺、彼氏失格だ…りんごがしんどいの気づかなくて…」






真琴は優しすぎる。


自分はなにも悪くないのに。







『真琴』






「りんご…?」





今度は私から思い切り真琴に抱きつく。






『今回はほんとに私の不注意だから!
真琴はなにも悪くないじゃん!』








だから、だから、







『だから、そんな悲しそうな顔しないで?』







真琴のほっぺたをつんつんする。







「っ…やめろーー!」








つんつんしていた手を掴まれる。





あ、元の真琴に戻った。







「でも、次からはしんどくなったときにちゃんと言うんだよ?」







『分かったよ!もう、心配性だなあ!』







ほんとに真琴は昔からお母さんかよって感じのときがある。







「誰のせいだと思ってんの」







飽きれたように笑い、「立てる?」と手を差し出してくれる。




その手を取って、2人で手を繋ぎながら保健室を出てゆっくり歩く。




















夏は暑い。
君がいるからもっとあつい。











あとがき
本物の菜義はラグビー部のマネージャーだったりします。




2013.8.8

≪ | ≫
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -