真琴の手が好きだ。




力強く水をかく手

優しく包んでくれる手












ー先に帰る。




素っ気なさすぎるメールを送り、一足先に学校を出る。



部活終わりで、空は暗くなり始めていた。






別になにか用事がある訳でも、真琴に会うのが嫌な訳でもない。


ただ、一人になりたい。

そんなときってある。







ちゃぷ





少し大きめの岩に腰をかけ、川に足をつける。

冷たくて気持ちいい。





お気に入りの場所で、よく来てはこうやって足をつける。




小さい頃はよく遙と真琴と水遊びをしたっけ。








『ふぅーー…』





別になにかあるってわけじゃない。







でもなにか、不安というか、モヤモヤするというか…










「ため息って普通『はぁー』じゃないの?」





顔をあげると真琴が飽きれた顔でこちらを見ている。






「ここにいると思った。」




『来ると思った。』





真琴が優しく微笑む。





「危ないから、暗くなって1人でいちゃダメだって言ったでしょ。」






やっぱり少し飽きれた顔。



ていうかそんなに暗くない。






「冷たっ」






真琴が川に手を入れ、すぐに引っ込める。







なにかあったのかとか、聞いてこない所が真琴らしいというか、全て分かってるというか。





だけど、いつもそばにいてくれる。






「りんご」






『なにー?』








ぽんぽんと頭を撫でられる。






大きな手、気持ちいい。


この手がいつも安心させてくれるんだ。






真琴は微笑んだまま、私の頭に乗せていた手をそっと、私の前に伸ばす。







「おいで。」






心がいっぱいになる。






『うん。』






その手を掴むと、一瞬で引き寄せて、優しく力強く包んでくてる。





ぎゅぅー…








「りんごの不安が、飛んでいきますように。」







真琴の手が好きだ。



力強く水をかく手


優しく包んでくれる手







そして、私を導いてくれる手













あとがき
free!
久しぶりに書いた笑



2013.8.5



≪ | ≫
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -