かめんぶとうかい-4





「ちょ……離してよ! 」

「離さねぇ。」


あの後に適当な用事を付けてアッテモの魔の手を逃れたタバサはやって来たコリンズによりバルコニーに連れられていた。
ぎゅっと握られた手首も痺れて感覚がなくなっているのに、コリンズはなかなか離してくれない。

バルコニーはしんと水をうったように静かで人もまばらだった。大理石で造られたそれは随分と広く、余計に人気がないことを際立たせた。

「離せって言ってるの! 」

タバサは手首が握られていたほうの腕を力強く振ってコリンズの手を振り払った。だが、コリンズはタバサに手を振り払われても大して驚きはせず、静かにこちらを見据えていた。
そんな彼の様子が珍しくてタバサは少し身構える。別にコリンズが飛び掛かってくるとは思えないが、何故だか体が動いてしまったのだ。

しばらくするとコリンズは息を少し吐き出して今まで作られていたはりつめた雰囲気を壊した。

「悪いな。ただ少し我慢が出来なくて」

意外にもコリンズは素直に謝った。昔なら何かしら屁理屈をこねて謝らなかった彼も随分成長したものだとタバサは変に感心する。

「我慢、って何のこと? 」

「俺はあいつが好かない。前に食事会に招かれたんだが、どうにも」


  
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