仮面舞踏会-2





数十日後僕含めた家族四人でラインハットに向かうことになった。

あの後結局タバサは上手いように母と父に丸め込まれて渋々行くことを了承したため、僕らの仮面舞踏会行きが決定したのだ。
移動手段はルーラで、その点に至っては他の来客よりは時間に余裕がある僕ら一家は、ひとっ飛びでラインハットに到着した。

ただでさえいつも豪華絢爛なラインハットだが、今日はそれとは比べられないほどに美しく飾り立てられていた。
城下町もどこか上品な装いの人々で溢れ、兵士の鎧もぴかぴかに磨かれ、まるで国全体が何かの魔法に包まれているようだった。

随分速く到着したとは思ったものの、もう来客はかなり到着していた様だ。華麗に女性をエスコートする紳士や、きらびやかに着飾った淑女で城の前はごった返していて、僕らもすごすごとその列に混ざっていった。

「何だか見られてない? 父さんがいるからかな」
思わず僕がそう溢してしまうほどに、じろじろと不躾な視線が自分達には集まっていた。
僕は、一国の王で有る父が来たためにざわついているのかなあと軽く予想は立てたものの、それはタバサにより一蹴された。

「相変わらずおばかさんなんだから。みんな、レックスを見てるのよ。天空の勇者であるレックスを。」

いつもより着飾って大人びた雰囲気のタバサは僕に向かってツンとした様にそう言った。

「そうかな。」

ぴかぴかに磨かれた大理石には今日の自分が映る。
いつも何と無くぼさぼさした金色の髪は撫で付けて整えられ、服も青を基調とした正装。天空の剣や鎧を装備している訳でも無いのに、よくわかるなと純粋に感心した。

城の会場に入るとさらにそこは豪華絢爛、という訳ではなく、あくまで上品だった。城の外とはまた違った美しさはそこに足を踏み入れた紳士淑女を唸らせた。

そんな光景を呆然と眺める僕の肩を誰かがバシバシと叩く。振り返ると、
「コリンズくん?」

そこには見慣れた緑髪を整え赤を基調としたデザインの何やら複雑な模様の上着を羽織ったコリンズくんだった。彼は上着と合わせた仮面をつけて…。

「あっ」

仮面。今日は仮面舞踏会だった。現に横の父や母やタバサも仮面をしていた。
あたふたと仮面をつける。

「この舞踏会は親父発案だからな。息子である俺が気合い入れなきゃな。」


  
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