(過去)寄り道

*明るくない

広野がいなくなって、どんなに探しても見つからなかった。僕の足裏は汚れて血もでていた。
僕は真人さんと玲花さんのところに戻った。あそこにずっといたら、寒いだろうから。埋葬してあげなきゃ。

彼らのとこに戻ったけど、遺体は二人分しかなかった。あれ、花音は?もしかしたら彼がどこかに連れていったのだろうか。彼女のことが大好きな彼が。

当然スコップなどなく、石や木の棒で穴を掘った。ずっと、まわりが真っ暗になってもずっとずっと…


「なあ、お前なにしてんの?」

暗い中僕の上に影が落ちる。広野が僕を助けてくれた時のように、俺はあの時とは違う。喋れる、立てる。

「育ててくれた方のお墓を作ってるの…ここじゃ寒いだろうからって…」

「ふーん、一人じゃ大変だろ?手伝ってやるよ」

そういうとその人は一緒になって土を掘ってくれた。二人でやったら意外と早く終わった。その人は真人さんと玲花さんを穴に入れるとまわりの土を二人の上にかけていった。僕もごめんね、と思いながら土をかけた。
土をかけおわるとその人はふらっといなくなってしまった。お礼を言おうと思ったけど…。
これからどうしようか。今からむやみに動くには危ないし、二人を今日くらいは一緒にいたい。

「なーにやってんだよさっさといくぞ」

「え?」

「いいからこいよ」



連れてこられたのは人のいなくなった家。まだ廃れてないし、最近いなくなったんだろう。ここにすんでた人はどうなったんだろう。今回の襲撃ですむ場所を変えたか、それとも亡くなったか。
僕はその人に担がれて洗面台に連れていかれた。

「ほら脱げよ」

「へっ!!!?」

「さっさとぬがんと脱がすぞ餓鬼が」

「うわああちょ、脱ぎますから!!」

脱げといいながら自分で脱がそうとしてくるため僕はなにもできずにされるがまま。髪を洗われ体を洗われ。玲花さんがしてくれたみたいな優しい洗い方じゃなくて荒々しいまるで犬を洗うかのような洗い方で僕は綺麗にされた。

「えと…ありがとう……」

なにがなんだかわからないがお礼はいわなきゃと思った。けどその人はお礼を聞くとみけんに皺をよせて僕の頬っぺたを掴んだ。長い青い髪が僕の頬にあたりくすぐったい。

「ありがとう"ございます"だろ餓鬼」

「あう……はひはほうほはひはふ……」

「よし」

今のでいいんだ。

「俺の名前は志紀、おまえは?」

「ぼ、僕は」

「はいだめやり直し」

「へ?」

なにが駄目なんだろう。どもったのが駄目だったのか?どんな基準だ。

「一人称は"俺"僕なんて餓鬼くせえ一人称やめろやめろ」

「…ぼ…お、俺は成瀬喜入……です…志紀さん」

「おう、お前は気に入ったから特別に俺のチームに入れてやる。」



――――――
志紀さんは喜入より5歳くらい上です
チームというなの孤児の集まり。
その界隈では有名ですっと

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