ある日喜入が家を飛び出した。その顔は驚きと喜びで満ちていたのを俺は覚えてる。あいつはよく笑顔だったがあんなに幸せそうな顔は初めてだった。 「志紀さんすみません」 「軍に入るからチームを抜けさしてくれ…ねえ…」 「う、す、すみません!!」 いなくなって三日後に喜入は帰ってきたが、今までの格好ではなくて軍人の格好をしていた。 俺はにっこりと笑うと喜入は顔を和らげた。許すと思ったかこの馬鹿は、 とりあえず頬っぺたを摘んで左右に伸ばした。 「あだだだだだ!!!!!!痛いですってば!!!!」 「ほんとお前って奴は…!!」 「ううすみません!!」 涙目になったので頬っぺたから手を離す。 「はあ……広野とかいうチビがいたからー?一緒にいたいだー?なめとんのかぼけが」 「で、でも…」 「いいぞ」 「いやでも…!!え、……」 「それがお前の幸せならな」 こいつの目は本気だった。そんな奴の願いを無下にできるはずがない。ま、俺にできることは送り出すことくらいだ。 俺はぐちゃぐちゃなタンスからピアッサーを取り出す。手作りだから開けられたら大分痛い。 「よし、喜入、ピアス開けるか」 「えっい、嫌です!!痛いですもん!!!」 「認めねーよ」 暴れる喜入を押さえ付けて耳たぶの真ん中らへんに穴を開ける。 「これは軍への忠誠の証」 軟骨の部分に穴を開ける。俺も経験したがすげえ痛い。個人的には一生したくない。痛いのは喜入も同じようで、痛みに涙を浮かべながら悲鳴にならない悲鳴をあげる。 「これは広野とかいう奴への忠誠を」 喜入の耳をさする。血が滲んで真っ赤に腫れた耳。 「この痛みの分広野を幸せにしてやんな。」 「…はい、」 俺はほい、と濡れタオルを喜入に渡した。そっからはたわいもないことを話した。喜入がもう帰らないといけないらしく迎えがきていた。 「じゃあお世話になりました」 「おう、また髪染めにでもこいよ。あ、あと」 「なんですか?」 喜入の紫とピンクの髪がなびく。 「いっちゃん下のピアス外すなよ?俺への忠誠は不滅でねーときれんぞ」 俺の大事な弟は笑顔ではい、と頷いた。 ((Because I would like to see your smiling face)) ………………… 最後の英語は 笑顔は君の笑顔がみたいから って意味です(´`)え、蛇足とかいわないでw ピアスの意味をやっと書けてよかった… ちなみに喜入のあのピンクは染めてます 時々志紀んとこに髪染めにいってます [*前] | [ ] [戻る] |