余計な考えは無意味。 | ナノ
酷く身体が痛んだ。
引き裂かれるほどの痛み、苦痛。雷神は必死に痛みに堪える。
叫びそうになる声を我慢するために塞がれた唇には唇を噛んでしまった事により血が流れた。
「クソッ……」
そう呟いて雷神は大地に爪を立てた……。
小さすぎる身体と重すぎる自分に。
満月の夜、私は奥州のとある池に訪れていた。この池には竜神が棲んでいてここら一体は神聖な空気に包まれていた。
「竜神、」
池にそう呼びかけると池の中央に波紋が広がったと思ったらそこから青い髪に青い着物を身に纏った男が現れた。
竜神はゆっくりと水を滑る様に進み私に近づく。
青白い光を発している竜神の姿がすぐそこまで来た
「何用かな、雷神」
薄っすらと笑みを浮かべ竜神が問う。
「西の動きについてだ」
そう言うと竜神の表情が少し曇ったがまた元の表情に戻す。
「西、か……という事は、」
「ああ、皆を集める、そして今後のことについて話し合う」
「いいのかい?雷神の身体が持たないよ」
「大丈夫だ、私には……政宗が居る。」
「ああ…切り札か、」
そこまで二人で話し暫し無言になった。
しかし黙ってはいても二人の瞳は互いを離さなかった。
暫く経ち雷神が口を徐に開いた。
「最近西がおかしな行動をとっている。」
「それは私も気づきました、何か企んでいますね。」
「やはりそう思うか?」
「そう思ったほうが普通でしょう。それに風神の事ですし…」
「そうだな、」
その瞬間だった、右の胸からズキンという鈍い痛みが広がった。
あまりの痛さに雷神は目を見開き、その場にしゃがみ込んでしまうくらいに。
「雷神!」
竜神が雷神の名を呼び苦痛に顔を歪める雷神の身体に触れた。
「っ!?これは…」
竜神は気づいた見たいだ。そして私も気づいた。
しかし、今はその事よりもこの痛みを何とかしなければならなかった。
これは堪えるしか方法が無い。私は大地をがりがりと傷つけた。
横では竜神が心配そうな表情を見せていた。
それから痛みが止んだのは、胸が痛み始めてからそれほど時間が経っていなかったのだが雷神にとっては長い時間に感じられた。全身に冷や汗をかいてその顔は青白く見える。
荒い息を整え、やっと一息つけた。
「雷神……」
「心配かけてすまないね、竜神」
竜神の細い指が自らの胸を指した。
そして「どうしてそんな事になったんですか」
そういう竜神の表情は険しいと言うか、怒りに近かった。
「少しへまをした」
「少し、で済む問題じゃないでしょう」
鋭い視線を送る竜神の視線を逃げるように雷神は月を見た。
「雷神、貴女馬鹿な事考えてないですよね」
「…考えてないよ」
「貴女が居なければこの地が成り立たないのは知っているでしょう?」
「勿論だ、」
「争いだけの世界にしたくないのでしょう?」
「当たり前だ」
「それなら、」
「貴女は貴女の仕事を為さればいいのです。」そう言って竜神は深い池の中へと消えていった。
残された雷神は今にも泣きそうな顔をして「わかってるよ」と呟いたがその言葉は無意味だった事を後に明らかにされる事になる。
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ぶっちゃけ竜神のキャラ掴めてない。
なんか敬語のメガネの似合いそうな鬼畜が書きたかった、が、失敗したの例