9、さわやかな殺気。
一ヶ月。一ヶ月なんてあっという間に過ぎ去っていった。
俺はその間に出来た煙管の出来に満足し、その煙管を早速使っている。
最初は煙たかったが慣れてしまえばうまいものだ。

ふぅ、と口から煙を出しその煙を目で楽しんでいた。
部屋には香の香りと煙管からの煙の匂いが混ざり複雑な匂いになっている。
その部屋に女中が入ってきて式の為の準備と着替えを済ませた。

相手のほうはもう少しで着くみたいだが、正直遅くて苛々している。
それに、この式の着物もSimpleすぎて好きじゃねぇ。

指で煙管をくるくる回し父上と家臣、その他諸々の人達と姫さんの到着を待った。
父と母はそわそわと落ち着きがないようで、さっきから女中達に水を頼んでいる。
緊張しているのか?はっ、情けねぇ!

俺は女中にkissをせがむくらい余裕だって言うのによ!!

その言葉どおり俺はいつもよりも綺麗に着飾った女中に「kissしねぇか?」と手当たりしだいに言っている。
皆口をそろえて「そう言う事はこれから来る濃姫様にしてあげて下さい」と言うのだが
俺とのkissは拒むことはしなかった。

やっぱり口よりも体は正直だなぁ。なんてニヤニヤしながら言えば女中達は羞恥に頬を染めた。可愛いなぁ。

さてさて、暫く時間が経ちようやくお待ちかねの姫さんが城に到着したようだ。
皆それにほっと胸を撫で下ろしている。しかし、本番はこれからだ。

城の中に来た姫さんを女中達が案内し俺等のいる部屋まで連れてきた。
姫さん、濃姫の顔は俯いていてよく分からない。だが、挨拶の時に発した声はそれこそ鈴の鳴くような声。だった。

頭を下げ顔を上げる濃姫。その時顔が完全に見えた。
整った顔立ちの濃姫の顔。これが、本当にあの濃姫になるのか!?と驚くほど可愛らしかった。
思わず。「ほぉ」と声が出てしまうくらいだ。

式は盛大に行われた。時間をかけて。
正直俺は式そのものではなく濃姫に興味があったわけで暇だった。
俺の隣にちょこんと座り緊張した様子の濃姫は見ていて面白かった。
まだ、純粋な女子・・・といったところだ。これからどれだけ変貌していくのか見ものだな。
俺は先のことを想像し咽で笑った。
そんな俺を見た家臣たちは「信長様も今日は機嫌が宜しい様で・・・」と頬を緩ませていた。
ああ、その通り俺は今ものすごく機嫌がいいね。口には出さず心の中で答えた。

なんだかんだで式も終わり、俺と濃姫は父達の計らいで部屋に二人きりになった。
シンとした空気が俺達を包み込んでいる。俺、こういう空気嫌いなんだが。
その空気に堪えられなくなった俺は濃姫に「寒くはねぇか?」と聞いた。
濃姫は「ええ、大丈夫です。ありがとうございます」と何とも心の篭っていない答えを返された。

「髪が綺麗だな」と褒めてやれば「ありがとうございます」と返され
「着物がお前に負けるくらいお前は美人だな」と言ってやれば「信長様はお世辞がお上手ですね」とまるで興味が無いように返事をされる。

正直ここまで女に興味が無いように見られたのは初めてで(この世界に来てから)濃姫のような女に正直驚いていた。
だが、それと同時にこの濃姫をどこまで変えてやろうかと言う楽しみも生まれている。
まず、濃姫がどれだけ男に慣れていないのかと言うことを調べることにした。

俺は濃姫の手を捕るとぐいっと引っ張り俺の胸に濃姫を押し付けた。
濃姫はいきなりのことで抵抗、と言うよりも動けなかった。
そのまま俺は濃姫の腰を左手で支え、右手で濃姫の顎を掴み顔を上に向かせると、されるがままの濃姫の唇に触れるだけのkissをした。
触れるだけのkissだが、長くじっくりとだ。

俺は目を閉じていたが濃姫の様子を見るため目を開くと
濃姫は驚きに目を丸くし、瞬きさえも忘れ目を開いていた。(目ぇ閉じておけよ。)

どうやら息の仕方も分からないらしく、濃姫は苦しくなって俺の胸を叩いた。
仕方なく離してやる。唇を離すとき唇をべろりと舐めるのも忘れずに。

すると濃姫は顔を青ざめその場で泣き出してしまった。
今まで俺はkissをして女に泣かれたことが無かったため驚いた。
ここまで純粋だったのか・・・・。いや、それとも俺のことが嫌いだったのか・・。
まぁ、どちらにしろ泣いてしまった物は仕方が無い。

ちらり、濃姫のほうを向くと怒った顔で俺を睨むように見ていた。睨むにしては可愛らしかったが。

俺は「はぁ」と溜息をついて頭をがしがしと掻きながら廊下に出て行き、隠し持っていた煙管を指で回し
「これからどうしょうか」と考えながら素直で可愛い女中を探しに言った。






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bkm


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