15歳になったある日の出来事だ。
女を両手に抱きかかえているところいきなり部屋に現れた父上に「お前の嫁が決まった」と告げられた。
・・・・はぁ!?
え、嫁!?
俺は目を丸くして驚き父上を見かえした。
見れば両手に居る女も驚いて口元を手で隠している。
ぎゅっと俺の着物を掴み、体を俺に預けるように体重をかける女二人。
いやいや、今はこの女なんかどうでもいい!!
それよりもこの馬鹿親父嫁っつったか!?つか、それ今言うこと!?
えっ、え、えぇ、お、落ち着け俺!!嫁っていったらあれじゃねぇか!!濃姫じゃねぇか!!
うっそーー!!もう濃姫来るの!?早くね?早くね!?
確かに前の人たちの結婚は早いっては聞いてたけどこれは早すぎじゃ・・・・いや、確か政宗は13で結婚してたような、しなかったような・・・・。
「それは誠ですか父上?」
俺はあくまで冷静に振る舞い言った。
父上は「誠だ」と言って俺を冷めた目で見た。ケッ、つまんねー目をしやがって。糞親父。
「お前がこの婚約を成功させればさらに織田家の名は世に轟く。今更破棄は出来んぞ。
相手方の嫁を可愛がってやれ」
ああ、政略結婚ですか。
それだけ言っていくと馬鹿の糞の間抜親父は俺の部屋から足早に出て行った。
残された俺と二人の女。暫し無言の状態が続いた。
状況に頭が追いつかない俺。正直濃姫との結婚はもう少し先だったと思っていた為心の準備やなにやら出来ていなく
ようやく頭が状況を飲み込めた時には心臓がバクバクいっていた。
そうか、結婚か・・・。
俺はにやりと笑った。
その笑顔に二人の女は恐怖で顔を青ざめた。
「の、信長様・・・」
恐る恐る俺の名前を呼び手を握り締めてきた右側の女に顔ではなく瞳だけを動かし見てやれば
女は「ひっ!」と悲鳴のような声をあげて「なんでもないです」と小さな声で言った。
俺、別に怒ってないよ?なんでそんなに怖がってんの??俺の顔そんなに怖い??酷ぇ。
まぁ、そんなことどうでもいい。
俺は注がれた酒を飲み干すと夜の楽しい遊びを二人の女と三人で楽しんだ。(勿論、遊びっつーのはアレだぜ?)
―――――
朝、鳥の鳴き声で目を覚まし瞼を開けた。
昨日は夜遅くまでやっていたため寝不足で頭がガンガンとする。決して飲みすぎとかじゃねぇ!!
ガンガンと痛む頭を右手で押さえ、乱れた髪と着物をそのままで寝具から起き上がった。
ジャラリとなるAccessoriesを身に着けたまま俺は障子を開け放ち廊下に出た。
朝日を全身に浴びて空を見た。空は、ああ、憎いくらいの青空だ。
遠くから「きゃっ!」と声が聞こえたので何だと思い横を見ると
俺の部屋にくる途中だと思われる女中が俺の今の姿を見て頬を赤らめていた。
「す、すみません信長様」と言って顔を背ける女中が可愛くて俺は声を出さずに笑い、その女中に近づきその手を捕った。
いきなり手を掴まれ驚く女中。だが、嫌がる素振りは見せない。
「なぁ、そんなに顔を赤くして、俺に惚れっちまったか?」
抱き着き耳元でそう囁けば、女中はさらに顔を赤くして「そんな事・・・」と弱々しい声で呟いた。
無理やり唇を奪い体を放せば、へたりとその場に座り込んでしまった。
女中は胸を押さえ、なんとか立ち上がりもと来た道を戻って行った。
女の反応は面白いな。
クククッと笑って俺は部屋に戻った。
次に俺の部屋に来たのは別の女中だった。朝餉と着替えを済まし俺は父上の部屋に向かった。
「父上、婚約の件なのですが」
俺は単刀直入に父上に言った。
父上は「なんだ」と言って煙管をを手に持ち火をつけた。
あーー、いいな煙管!俺も欲しい!!・・・じゃなくて!!
「それはいつごろ式を挙げるのですか?」
もうはやく濃姫に会いたくてしょうがないのだが。
これだったら光源氏計画できるんじゃねぇか??
「一月後だ」
ほぉ、まぁ、そのくらいだったら待ってやってもいいか。
聞きたいことを聞いて満足した俺は立ち上がり自室に戻ろうとしたが父上に止められた。
なんだよ・・。不機嫌な顔で父上を見れば父上は口をもごもごと動かし俺に「嫁の容姿や、どんな女子か気にならんのか?」
いや、容姿とか大体分かるんで。美人さんだっていうの分かるんで。
顔が良ければそれでよし。性格なんて後からでも変えられるしな。
「気になりませんよ。」
口の右端だけをくいっと上げてそれだけ言うと俺は今度は本当に部屋に帰った。
自室に戻りぴしりと整った着物が窮屈で着物を崩して「はぁ」と息を吐いて座った。
濃姫に会えるのは一ヶ月か・・・・・。
父上の時は気にはならないと言ったが。自室に着いて落ち着くとだんだんと気になってきた。
バサラのようなキツイ感じの性格なのか??男に慣れているのか??
そうだったら光源氏計画が少ししか出来なさそうだが・・。まぁ、いいか。
そうだ、煙管。
職人にSkullの煙管を作らせなければ。