7、世界を砕いて欲しい。
赤と黒の着物に身を包み俺は女を五人部屋に呼んだ。
どいつもこいつも誘うような目で俺を見てやがる。俺は別にこいつ等には興味が無いが(大して可愛くないので)その俺を見る瞳は大好きだ。
俺が欲しくて欲しくてたまらないというようなその瞳は俺を誘うのに十分すぎる。

俺は大好きな金平糖を咀嚼しながら女達の肌を撫で回した。

「信長様ぁ」

と甘えるような声を出す女の腰をぐいっと引き寄せkissすると赤くなった頬を両手で隠しながら
「こんなに甘い口吸い初めて・・・。」(いや、金平糖食べてたからね)
とほかの女達に自慢していた。さすれば、「信長様私もぉ!」「私にもしてぇ」と次から次へとkissの要望が来た。

少々面倒だと思いながら一人一人に時間をかけてkissをしていく。
女達は満足したように互いに顔を見合わせていた。
男に生まれて女には困らないが、男が足りない・・・・。
もう一度言っておくけどなぁ、俺元々女だぞ??男も好きだって話したよな??
美少年が欲しい・・・。かっこいい親父系が欲しい・・・・。呼んじゃおうか??城に??

と、いうのは置いておいて、女も好きなんだけどな、可愛い子が少なくて困る。
普通の顔は居るんだけどねぇ、こう、絶世の美女!!っていうのが見てみたいな。
男の俺としては!!

まぁ、今はこれでもいいけど。

それにしても、だ。退屈すぎる。
俺は飽きて女達をそのまま帰した。物足りなさそうな、悲しいというような顔をしながらか帰っていく女達を見送りながら俺は深い溜息をついた。

何もかも、とはいかないが、大体今自分が手に入る物は手に入れてしまった。
後ほかに何があるというのだ??何をすればいい??何を手に入れればいい??
先が見えない。退屈だ。暇だ。

じっとしていると体が疼く。イライラする。
髪を解いて長く伸ばした髪を掻き乱し考えた。しかし、考えても考えても答えは見つからない。

退屈は嫌いだ。何をすればいいのか分からない。動けない。先が見えない。
イライラ、イライラ、イライラ、あ゛ぁ嫌になる。

「一体何をすればいい・・・。」

こんなに退屈なになるなんて誰が考えた。俺は自分の事だが分からなかった。
毎日何の楽しみも無いまま生きて行くなんて吐き気がする。

楽しいことを見つけなければ死ぬ。

自分に今課せられたのは楽しいことを見つけることだ。何がある、何がある。

その時ふと、この間どこからか貰った献上品のことを思い出した。
木で出来た箱を開け中を見てみるとそれは何ともよく出来た茶器であった。
深緑で出来たなんとも思わず感嘆の溜息が出た。なんて綺麗なんだろう。

あ、そうか。

俺は思った。茶器を両手で壊れぬように持ちながら。

これからはこれらを集めよう。
世界中の綺麗だといわれるもの、南蛮の物もいいな。
世界中の人が唸るような茶器や絵を集めたい。そうして自分だけの物にし自分だけが楽しむことが出来たらそれはなんと贅沢なことだろうか!!

誰の目にもつかないところへ、自分だけの物に。
それは、なんと面白いことだろうか。人々が羨ましがる物を沢山手に入れ。

「クククッ」

と咽で笑った。
前まではこんなもの集めようと思わなかったのだが、退屈になりすぎると色んな物に手を出したくなるものだな。
まるで、松永久秀にでもなったような気分だ。

そうだ、松永久秀。そういえば織田信長とけっこう色んな事するよな?
松永には一体いつ会えるのだろうか。

ああ、そうだ。濃姫にも会わなければならないし、蘭丸、明智、そしてその他の戦国武将たち。
今どれだけ育ち、または、生まれていない者。これからどういう風に出会い、どういう風に俺を見て感じるのだろうか??

なんだ、先は意外と見えるものじゃねぇか。
可愛い戦国武将たちが待っている未来。それがあれば生きていく理由なんて簡単にできる。

ああ、はやく大きくなって皆に会いたい。
前世から現世に続くこの「会いたい」という気持ち。

そう、考えれば未来なんてすぐそこ。





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