6、大好きな父上が来てくれました。
まだ立つことは出来ないけど、一人座りが出来て、ハイハイが出来て(完璧に)、歯もはえてきました。

自分で言うのもなんだが、ものすごく成長が早いと思います。
みんなも(城にいる人)成長が早いと口々に言ってきます。
中には「天才だ!!」「神の申し子だ!!」って言ってくる人もいてマヂびびリます。

天才って言われて悪い気はしない今日この頃。

なんか、最近は得に成長するのが感じられないため、テンションががくっと下がっています。

喋るにしても「あーー」だの「うーーー」だのしかまだいえないし。
歩くのは、つかまり立ちすらままならないから無理でしょ。


あと・・・何があるよ。成長。
成長!!したいよ!!!


「あーーう゛ぅーーーーあぁーーーー!!!!」



「あらあら、梵天丸様お話したいのですか?」


あ、ちがっ、違うんです!!
日ごろの鬱憤をはらすために叫んでいただけであって、けっしてそのようなことは望んでいません!!


・・・とは、言えないのでそのまま女中さんと乳母さんとお話・・・。


あ、最近わかったんだけど女中さんの名前が千代さんっていう名前で、
乳母さんが小萩っていう名前なんだって!!

小萩さんに千代さんですかぁ・・・可愛い名前だよね・・・・・。

可愛い二人にはぴったりの名前だよ。


「ほ〜ら梵天丸様。これはもみじという植物ですよ。」
「梵天丸様、こちらはすすきでございます。」


二人は、一生懸命今の季節の植物の名前を教えてくれている。

本当は知ってるんだけど、赤ちゃんだからそんなことも言えず
かと言って、二人を無視する事も出来ず。
とりあえず、うなずいてみると。

「さすが梵天丸様、御分かりになられるのですね!!」

なんて言って、興奮する始末。

ええ、そうですとも、わかっていますよ!!!!


私は、小萩さんに抱きかかえられ外の風景を見ていると、後ろの襖の向こう側から足音が聞こえた。


義姫か!?なんてちょっと身構えたけどこの足音は男の人のものだな・・・・。
ちょっと、荒っぽいし。


ガラッ


っと、目の前の襖が開いた。
開けた人は、思ってた通り男の人だったけど、ええええちょ、興奮しちゃうよ!?

だって、だって、その来た人って言うのが父様なんだもん!!!

父様が来てくれた!!

それだけで、嬉しくって興奮する。
あ、鼻血でそう・・・・。

「輝宗様!!」
「よう、ちょっくら梵天丸に会いに来たぜ」

そう言って口の端をくいって上げて笑う仕草・・・・やば過ぎます・・・。


私は、父様にもっと近づきたくて。ってか触れたくて!!
小萩の腕の中で父様に向かって手を伸ばした。


「!?」
「梵天丸様、輝宗様のところに行きたいのですね。」

父様は驚いたような顔をして、私を見て、小萩も少し驚いた声で言った。

え、いけないことだった(焦)?

驚きつつも父様は私を抱きかかえた。(ちょっと、ぎこちなかったけど)
父様は、私をいとおしく包み込む。


「梵天丸様は本当に良い子でいらっしゃいますよ。夜泣きもあまりしませんし・・・。
将来がとても楽しみでございます。」

優しい笑顔を私に向けながら千代さんは父様に話しかけた。

父様は「そうか!!」と言ってとても嬉しそうな顔をしている。
そんな父様を見ていると私も嬉しくなってしまって、思わず顔が緩んでしまう。

父様は大きな手で私の頭を撫でた。
そして、撫でながら目を細めて言った。

「俺はな、梵天丸に会うのがこわかったんだ。」
呟くように言ったそういった言葉は、小萩さんに言っているのか千代さんに言っているのか・・・。
はたまた、私か・・・・・。わからない。


「何故で・・・ございましょう。」
小さく小萩が尋ねた。


父様は、私を見ながら話した。
「俺は、めったに梵天丸に会えねぇ。
赤子というのはめったに会わねぇ人だと酷く動揺するだろ?

もし、梵天丸にそんな風に怖がられたら、拒否されたらと思うとこわかったんだ。」


ふぇぇ・・そうだったんだ・・・。
複雑なんだね親の気持ちってやつも。

「だがな、梵天丸はこうして笑顔で俺に抱かれている。
それが、すごく嬉しくて仕方がねぇんだ。
・・・・俺は、何があっても梵天丸を守り抜く、そして強く育てる。」


そこまで言うと父様は小萩と千代の二人を見ると「小萩、千代」と二人の名前をそれぞれ呼んだ。

「「はい」」

「俺がいない間はお前達が梵天丸を守ってくれ」
「「我が命に代えても」」

二人声をそろえて頭を下げる。
私は、そんな光景を見てカッコイイと思った。

今、私の目の前で行われている事は、私が今まで見たこともない事で
思わず息を呑んだ。

「命に代えても」なんて、今まではドラマの時代劇だけの中でしかなかったけど、こうして目の前で・・・
しかも、私に関係しているというのだから驚かずに入られない。


私のこの命は私だけのものではない、この小萩、千代とともに在る。
そして、その逆でも在る。


私は、父様の望んだように強く生きよう。
自分だけではなく小萩、千代も、この国を守れるくらいに。

強く生きよう。


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bkm

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