2、小さな手。
まぶたの裏に明るい光が差しこんいるのがわかった。
明るい。

・・・・・ここは、天国か?

あーあ、私死んじゃったんだ。家族や友達に申し訳ないよ。
私がいなくなって悲しんでるのかな?
悲しんでいたら嬉しいな。
私がそこに存在していて良いよって意味だから。

天国って楽しいところかな?
みんなの様子を見る事が出来るかな?
そしたら、毎日みんなの事を見る事が出来るのに。

見れなかったら・・・・まぁいいか。
これから私はどうすればいいんだろう。
天国じゃなくて何もない世界に落とされるのでないだろうか。
そんな不安が頭をよぎる。


そう考えると自然と涙がこみ上げてきた。


もう、この際おもいっきり泣いてしまおう。





「おぎゃーーー、おぎゃーーーー!!!」





・・・・・・・・・ん?

なんかおかしいぞ。


「あら、あら。梵天丸が起きてしまいましたわ。」


梵天丸!?梵天丸って言えば政宗の幼名の名前だよね!?
えっ、どこどこ??梵天丸どこ!?
もしかしてここバサラの世界!?
私、トリップした系ですか!?


重いまぶたを開くと(梵天丸が見たいがために頑張りました)目の前には綺麗な女の人が私に笑顔を向けていた。
そして、その白くて綺麗な手で私を持ち上げる。



えぇぇ!!この人どんだけ力持ちなんだよ!!!!



「お〜よしよし、泣かないの。」


泣かないのって、言われましても、なぜに貴方様にそのような事を言われなければならないのでしょうか!!
てか、待って待って!!
声からするとさっき梵天丸って言った人はこの人のはず。


他に梵天丸らしき人は見当たらない。

て、事は。





・・・・・・・私が梵天丸!?



おーーまいがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
えっえぇぇぇぇぇぇぇ!?
ちょっ・・・どうしてくれんだよ!!
自分が政宗になったら、政宗とのハッピーライフはどうなるんだよ!!!
自分のこと愛せと!?ナルシストになれと!?


無理ーーーー!!!まじ無理ーーーー!!!!

そりゃないってハニーーー(ハニーって誰!?)



「おぎゃーーーーおぎゃーーー!!!」



「ああ、泣かないで梵天丸。母様悲しくなってしまいますよ。」



・・・・え、この人今、母様って言った?
ってことはこの人、かの有名な義姫!?
あの、政宗を殺そうとした義姫ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?(さっきから叫んでばっか)


ありえない・・・。こんなきれいでやさしそうな人が、政宗を殺そうとするなんて・・・・。


私は、ピタリと泣き止むと母様である義姫を見た。
見つめてくる私に義姫は、さらに輝かしい笑みを私に向けた。
赤く、艶やかな唇を開いて、泣き止んだ私に「えらいですね梵天丸。それでこそ男児、それでこそ将来天下を取るお方ですよ。」っと
普通の赤子には理解できないようなことを一人言った。


その言葉を聞いて私はあることを確信した。
それは、この人の天下への欲望。
一見聞けばこの言葉は、跡継ぎの子供には普通に言うことなのだが、
私が確信したのは、この言葉じゃなくて・・・。

義姫の顔。



さっきまでま純粋に「あ、きれいな人だな。」なんて思ってたけど。

義姫が「天下」とい言葉がその口から出たときの顔。
あの顔は、まるで鬼かと見間違うほど、いや、見間違いかもしれないが・・・しかし、それほどのものをこの義姫に感じた。



この人だったら自分の子供を殺す。


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bkm

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