21、そう、それは病気のように。
瞼の裏に光を感じて私は目が覚めた。
ぼーーーっとする頭。天井を暫く見つめた。今まで飽きるほど、嫌というほど見た高い天井。
その天井を見ながら私は考えた。


私どうしたんだっけ?


あまり動こうとしない頭を一生懸命働かせた。


たしか小十郎が来たんだ・・・・・・。


それで・・・・・私は・・・・倒れたんだ。
その後どうなった?私はどうなった?小十郎はどうなった?


私は首を横に動かした。



「!?」



驚いておもわず肩が揺れた。


横に、私の横にその小十郎は居た。


「お目覚めになられましたか梵天丸様」


そう言って私に微笑んだ。
な、何でそんな笑顔ができるの!?貴方はさっきの私の行動を見た?暴言を聞いた?顔を見た?

そう叫びたかった。
だが、私の体はぼろぼろで大声を出そうにも出せなかった。




「消えろ」



小十郎よりも私のほうが先に消えてしまいそうな弱々しい声で私は言った。
強く言いたかったけどそこまでの気力が無い。



小十郎はそんな私の言葉を聞いても私に微笑みかけた。



「目障りだ」




私は唇をぎりっと噛んだ。
そして、なんとかして上半身を起こそうとした。


「梵天丸様!」


そう言って慌てて私に手を貸そうとする小十郎の手を私は払いのけた。
小十郎の手を借りず私は一人で上半身だけを起き上がらせた。



「梵天丸様、起き上がってはお体に触るのではないかと・・・」


「煩い」


間髪いれずに言った。


「し、しかし」

私は小十郎の言葉を無視した。


そして私は小十郎を冷めた瞳で見た。



何がしたいんだろう・・・・。



私のには小十郎がわからない。
私にあんな行動をとられたのに全て忘れたかのように私に微笑む。



小十郎がわからない



目の前にいる小十郎は私を心配そうに見ていた。
どうやったら小十郎は私から離れてくれるのかな・・・・・。



「お前はどうしたら俺から離れてくれる」



途切れ途切れに言った。

小十郎は眼を丸くして私を見た。なに?何が言いたいの?


小十郎はその瞳のまま私を見つめた。そして不意に口を開いた。



「小十郎は・・・梵天丸様から離れるようなことは致しません。何があろうと梵天丸様のお側に居ます。」



側に居る・・・・ね。



「何故?」



「それは、小十郎は梵天丸様をお守りしていくと心に決めたからです」



「それは表面だけ?父上に言われたから?本心じゃないだろ?
嫌だろ、こんな可愛げない餓鬼。こんな醜い餓鬼。嫌だろ?」


だいぶ体が楽になった私は小十郎に質問の嵐をぶつけた。
それは私の心にたまっていたものをぶつけるように。



「何故そう思われるのですか?」




「俺が自分の事嫌いだから」




小十郎はまた固まってしまった。私の質問も答えずに。
イライラしていた私は小十郎にあたった。



「何故お前はここに居る?
 何故お前は俺にかまう?
 何故お前は俺に微笑む?」


小十郎が何か言う前に私は言いたい事を言った。



「俺はお前が嫌いなんだだから俺の目の前から消えろ。
聞こえなかったのなら何度でも言ってやる消えろ。
そうしてまでお前がここに居る理由なんて無いはずだ。父上には俺から言っておく、小十郎は要らないと。
それじゃあ駄目か?何が良い、金が欲しいか?物か?女か?地位?名誉?
何でも言え、それでお前が俺の前から消えてくれるのならば俺は喜んで全てを捧げよう」



・・・・ここまで言っておいてなんだけど、私一応まだ五歳なんだよね。
五歳なのにこんな事を言う何て・・・・気持ち悪い。


私は小十郎の出方を待った。
小十郎は必死に何かを考えている。


私は辛くなった体を横にした。


顔は小十郎に見えないように小十郎の反対側を見た。


横にしたと同時に私の目から涙が流れた。
これには私も驚いた。何も悲しい事なんか無かったはずなのに・・・・・。
私は自分で何でないているのかわからなかった。



小十郎に気付かれないように私は布団の中で涙を拭いた。





「梵天丸様、小十郎はあなた様の心の隙間を埋めて差し上げたい・・・。そう思っております。」




私の質問の答えになっていない答え。




「先ほどの質問は、少し考えさせてください」



別に答えなんていいのに。だって、私がなんか腹いせに言っていただけだし。

しかも、自分のいったこと覚えてないからな私。



一体どこまで突き放せば小十郎は離れてくれるんだろう。


私がもっときつくあたれば良いのかな?
小十郎が私に小十郎が来るように、私が小十郎を避けるのは必然。
まるで病気のような私たちの関係。


小十郎を守るための私の行動はいつの日か小十郎を傷つけてしまうかもしれない。

狂った考えの私の手によって小十郎は死んでしまうかもしれない。

そんな間違いは起こさないようにも私は小十郎を避ける。




結局のとこ私は凄い怖がりなんだよ。


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bkm

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