18、怖い恐い怖い、全てが恐いよ。
私は一人、暗く誰も来ない自分の部屋にいた。
たまに来るのは父上かその他の人か・・・・。もちろん女中は来ない。
私は怖くて怖くて気が触れそうだった。


誰か助けて!!そう心で訴えたって誰も返事してくれない。
助けて、心臓が痛いよ・・・・・。


私は胸の辺りの着物をぎりっと握り締めた。


部屋の隅にうずくまり、頭から布団をかぶっているその姿はなんとも情けないだろう
自分でもそう思う。


しかし、なぜだろう。
本当に怖いんだよ。


父上は平気なんだ。なんでだろう?父上だからかな?
だけど、父上以外の人は怖い。

その人の瞳に私が映っているとわかったら、全身に鳥肌が立ち吐き気に襲われる。


触られるとさらにそれが悪化する。
心臓が、血が、ドクドクいっている。


呼吸が浅くなる、息苦しくなる。
涙で目の前が見えなくなる。


人と会うのがこんなにも苦しいものなんて初めて知った。

前の私だったら平気だったのに。

なんで、私はここにいるんだろう。何で私はいきているんだろう。


食べ物はほとんど手をつけていない。
何故かと言うと義姫が私の食事に毒を入れたらしい。

それも何回も、何回も。


その度に毒見の人が死んだ。
私もその毒で苦しんだ。


食べるのも怖い。


唯一私の助けになっているのは本と植物。それと頭の中の想像の世界。


想像するのは前にいたときから好きだったからいくらでもできる。


私は布団の中でもぞもぞと動いて自分の右目に触れた。

皮膚がざらざらとする。それに右眼も無い。

歩く時はすごく大変で真っ直ぐ進めない。



「千代、小萩」



私は小さく二人の名前を呟いた。



「私は一体どうしたら良い?」


二人はここにいないのだから答えてくれるはずも無いのに。


また、涙が出てきた。

私の涙腺は壊れちゃったのかな?涙が枯れないんだ。



その時、廊下から人の気配がした。
足音が近づいてくる。



ドクン、ドクン


心臓の音が近くに感じられる。
心臓が早く脈打つ。心臓の音が大きくなる。


布団を頭からより深くかぶる



そして、その人は私の部屋の前で止まった。


さらに早くなる心臓。
壊れてしまうんではないかと思うほどに。


叫びたくなるのを必死に抑えた







「失礼します梵天丸様」










この声は
私の良く知っている人の声。




小十郎。






小十郎は私の返事も聞かず襖を開けた。
小十郎の顔が私の視界に入った。







「・・・・っ!」








心臓が止まりそう・・・・。



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bkm

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